特訓②
前半ソフィーナ視点です。
アルマ様と別れた私達は、城にいくつかある訓練場のうちの一つに来ていた。ここでルゥの特訓を行うらしい。
「さて······それじゃあ今から特訓を始めるよ」
「頑張ろうね〜。ルゥ」
「はい!ソフィーナお姉様!ラミアお姉ちゃん!」
ここに来るまでに何故か私がお姉様呼びされるようになっていたけど、嬉しいからいいことにしている。
······別にそんな願望があった訳じゃないからね?
ちなみにラミアはお姉ちゃん呼びだ。本人も満足してるのか尻尾がブルンブルン動いている。わかりやすっ。
「それで、私は魔法を教えようと思ってるわ」
「私は、弓術は難しいし、身体面かな〜?」
「わかったのです!よろしくお願いします!」
そうして私達は訓練を開始した。
主な内容は、まず三人で走り込み。少し休憩を挟んだ後、魔力を高めるための瞑想に時間を費やす。
それが終わった後にようやく実践練習になる。
「それじゃあまずは魔法を教えていくけど、ルゥはどの系統の魔法が使える?」
「んーとね。全部!」
「······ほんとに?」
「ホントだよ!中級までだけどね!」
「そ······そう。わかったわ」
これは想定外でした。まさか全属性を中級まで使えるなんて。教えることが火炎魔法と氷結魔法の上級に値する魔法くらいしか教えられないじゃない。まぁ、仕方ないか。
「ルゥ。私が使えるのは火炎魔法と氷結魔法。だから、とりあえずその二つの上級魔法を教えるわね」
「はい!」
そう言って私はルゥによく観察しているよう言い、威力を調節した上級魔法を放った。
「獄炎」
半分程の力で放った炎はしばらく空間を焦がし、その場に留まっていたが、やがて空気に溶けるように消滅した。
「ふぅ······こんな感じよ。まあかなり手加減したけどね」
「わかりました!やってみます!」
ルゥが見よう見まねで魔法を詠唱した。
「獄炎!」
そう唱えるが、出現した炎はかなり小さい。先程の私の魔法の半分以下ぐらいの威力の炎しか出ていなかった。
「あれー?なんで?」
「ルゥ。見よう見まねじゃ無理よ。魔法を使う時にその魔法のイメージを自分の中で構築しながら唱えるの」
「イメージを構築······!やってみます!」
ルゥのやる気は途切れることなく、数十分は獄炎の練習をしていた。少しずつ威力が上がってきていたが、途中でルゥがダウンし背中から倒れた。
「ふへぇ〜」
「魔力過剰枯渇ね······」
彼女は魔法の使いすぎで魔力がほとんどの無くなっていた。魔力が無くなると心身共に疲労が蓄積し、立っていられないほどになってしまう。魔法使いにとっては命取りだ。
「次からはペースを考えてやるのよ?」
「はい〜······」
「休憩が終わったら、ラミアから色々と教えて貰いなさいね」
「わかったのです······」
しばらくしてルゥが起き上がると、少々重い足取りでラミアのところへ向かった。そしてまた色々としごかれ、今日だけで計三回倒れたのだった───。
「それで、そっちはどうだったんだ?」
「アルマ様の方とあまり変わりませんね。何度か倒れました」
「うう〜」
「疲れたね〜レオ」
「そ、そうだね。ルゥ姉ちゃん」
俺達はお互いに特訓を終え、城の自室で休息を取っていた。
「まあ初日だからな。これから体力もつけていけばいいから」
「はい!頑張ります!」
「私もです!」
二人がガッツポーズをし、こちらに笑みを浮かべてくる。俺が少し反応に困っていると、ソフィーナから声がかけられた。
「それでアルマ様。特訓はどのくらいやるんですか?」
「そうだな。まああと四、五日くらいかな」
「なぜなのですか〜?」
「いつまでもここにいる訳にもいかないし、セーナ大陸にあるもう一つの亜人族の国にも行ってみたいしな」
「確かにまだ一ヶ月近くありますしね」
次元の狭間がどこに出現するか、それを調べるという意味でも色々な場所を回っておくのは悪いことではないだろう。皆との旅も楽しいしな。
「と、いうわけだ。だからみんな、あと数日間頑張ろうな」
「おう!」
「はい!」
「や〜」
「はい」
全員が元気に返事をした後、俺達はまた特訓を再開した。
そうしてそこから数日は、ひたすら訓練に明け暮れることとなった。レオとルゥだけでなく、俺達も相当なレベルアップを実感出来た。とても有意義な時間だった。
そして、一週間後───。
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