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自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
第三章 兎人族
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Episode.ルゥ&レオ

前半レオ、後半ルゥ視点です。

 僕の名前はレオ。ウォルテラ王国に住む兎人族だ。姉のルゥ姉ちゃんと一緒に毎日必死に生きているんだ。お父さんとお母さんは、僕達が小さい頃に死んじゃった。お母さんの知り合いに引き取ってもらったけど、そこでの扱いは酷かった。


 ご飯は一日一回。家の家事を二人で押し付けられ、少しでも遅いと怒られて殴られる。寝床もろくなものじゃなく、家の廊下で布団もなく寝かされた。


 僕は辛すぎて、一度ルゥ姉ちゃんに相談した。こんな生活はもう嫌だ。二人で抜け出そうって。けど、姉ちゃんはこう言った。



「レオ。私達は生かされてるの。仕方ないことなのよ」



 そう返され、僕は絶句した。なんだよ、姉ちゃんまで。ずっとこんな生活を続けるつもりなのかな。僕はもう嫌だ。今すぐにでも逃げ出したかった。家から、姉ちゃんから、自分から、······人生から。


 でも、そんな僕を姉ちゃんは励ましてくれた。



「今頑張れば、きっといいことがあるの。絶対幸せになれるよ。だから頑張ろ?」



 今思えば、なんの根拠も無かったのかもしれない。けど、その時の僕はその言葉に生きる勇気を貰えた。もう少しだけ、頑張ってみようって思えたんだ。



 けれど、僕達は奴隷として売られた───。






 私の名前はルゥ。ウォルテラ王国に住む兎人族です。昨日奴隷として、居候していた家の人達に弟のレオと一緒に売られました。なんでも、これ以上は食費がかかるだけで邪魔でしかない、ということらしいです。


 薄々こうなるかもしれないことは分かってました。話しかけても無視され、何か失敗をすると酷い仕打ちを受ける。そんな生活が何年も続いていたし。



 私達は、亡くなったお父さん達がかなり強い人だったので、色々な戦闘での技術や実力をつけてもらえました。それが家の人達に知られると、レオと一緒に狩りに行かされ、命からがら倒して素材を持って帰ってきてもご飯が少し増えているだけ。何度も泣きそうになりました。


 そうして時々レオに泣きつかれ、必死に宥めるなんてことをしてましたが、私もレオのように声を上げて泣きたいと何度も思っていました。けど、いつか必ず報われる。今の苦痛は無駄にはならないと思って必死に頑張っていました。



 しかし、私達は奴隷として売られました───。







「ルゥ姉ちゃん······俺達、これからどうなるのかな······」

「大丈夫。きっと大丈夫。お姉ちゃんがついてるからね」



 奴隷に落ちて一週間。私達は依然として暗い檻の中の部屋で閉じ込められていました。周りを見回しても、目に入るのは泣き震えているレオや感情のこもっていない虚ろな眼を浮かべている他の奴隷の人々。そのうちの何人かは買われてここを出ていきましたが。


 奴隷がどのようなものかは、予備知識で一応知ってはいましたが、思い出しすとその内容の酷さに吐き気を催してしまいます。それ程奴隷とは酷いものなのです。



 そんなことをしていると、また今日も奴隷を買いに来た人が現れました。私達と同じくらいの年の男の子。その人の後ろには、二人の女の人が立っていました。


 その内の一人が兎人族なことに、私は驚きました。

私は少し警戒して殺気を出すと、急にその男の人がこちらを指さし、何かを話していました。


 私は気が緩み殺気を解くと、レオと一緒に呼ばれてさっきの男の人の元に連れられ、成り行きで買われました。






 その後、私達を買われた人、アルマ様と一緒に何故か王城に案内されました。正直とんでもなく驚きましたが、何故か普通に兵士の人達に通され、自室まで案内されました。



「それで、二人を買った理由なんだけど······」

「······はい」

「二人を買ったのは、俺たちと一緒に戦ってもらうためだ」

「······戦うんですか?」



 そうレオが問い返しました。



「嫌か?」

「いえ······むしろ好きな方ではあります」

「なら良かった。無理やり戦わせるのも嫌だったしな」



 そう言って二人が笑うのを横から見ていた私は、もしかしたら優しい人なのかなと思いました。そう思い、私はある事を頼んでみました。



「ルゥもいいか?」

「はい。それよりアルマ様······」

「ん?」

「お兄ちゃん······って呼んでもいいですか?」

「······え?」



 そう。私はお兄ちゃんが欲しかったのです。決してレオのことが嫌いなわけではありませんが、なんというか、こう、包み込んでくれるような安心感を与えてくれるというか。そんな感じです。


 私のそのお願いを聞き、アルマ様は傍に控えていたお二人の方に目配せをすると、こちらを向き言いました。



「うん。いいよ」

「ありがとう!お兄ちゃん!」



 私は嬉しさのあまり思い切り抱きついてしまいました。やってから恥ずかしくなり、赤面した姿を見られたくなくて顔をアルマ様のお腹に埋めてしまいました。うぅ、恥ずかしい。


 そんな私をラミア様とソフィーナ様が引き剥がそうとしましたが、私はしがみつき拒否しました。この温もりに浸っていたかったのです。決していい匂いだったとかそういう訳ではありません。


 そんなこんなで私達姉弟は、お兄ちゃんもといアルマ様に奴隷として買われました。けど、優しそうな人々で本当に良かった。私達は久々に心の底から笑顔を浮かべることが出来ました。








 ありがとうね。私のお兄ちゃん。

ブクマや感想はモチベの向上に繋がりますので、ぜひよろしくお願いしますm(_ _)m

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