表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
第二章 冒険
29/75

いざ、新大陸へ

かなり急展開になってしまいました······笑

 《龍の峡谷》から帰還した俺たちは、依頼の完了と報酬を貰うために冒険者ギルドに戻ってきていた。



「なあ、ソフィーナ」

「はい?どうしました?」

「俺たち一応《安らぎの宿》に宿泊してるんだけど、ソフィーナはどうするんだ?」

「それなら私もそこに泊まりますよ」


「城に戻らなくてもいいのか?」

「はい。許可は取ってあります。大人になってこいと」

「······わかった。じゃあラミアもそういうことで」

「一番は私ですからね!」

「わかったわかった。とりあえず中入ろう」



 そう言って俺たちはギルドへ入った。すると、冒険者数人が俺たちの前に立ちはだかるように立っていた。



「あの〜すいません。どいてもらっていいですか?」

「てめえに用はねえ。そこの嬢ちゃん達置いて帰んな」

「······は?」

「俺達がたっぷり可愛がってやるからよ〜?」



 そうして醜悪な視線を向けてきた。主にラミアとソフィーナに。ああ、これもまたテンプレか。



「私達はあなた方に興味はありません。アルマ様の邪魔をしないでくれませんか?」

「そうです。気持ち悪いのです。ご主人様に近寄らないでください。吐き気がします」


「おうおう。口だけはいっちょ前だな」

「そんなガキより、俺たちの方が気持ちいいことしてやるぜ?乗り換えた方がいいぜ〜?」



 瞬間。



 室内が圧に包まれた。その場にいた者は皆足が震えて膝をつき、失神している者もいた。


 そして、その圧を直接受けた先程の冒険者達は───


 恐怖で竦み上がり、言葉一つ発することすら出来ずにいた。失禁している者や嘔吐しているものまでいる。


 とんでもなくおぞましい光景であった。その光景を作り出した当の本人達が、ぽつりと呟いた。



「それ以上侮辱してみなさい。本気で焼き尽くしますよ」

「次、また同じようなことをご主人様に言えば、息の根が止まると思ってください······ね?」



 まるで魔王の魂を宿したかのようなラミアとソフィーナに気圧された冒険者達は、ちぎれんばかりに首をふっていた。


 それを見て、二人が圧を解く。正直俺も少し怖かった。この二人は本気で怒らせないようにしよう······



「ささっ、アルマ様!いきましょう!」

「ご主人様〜!」



 そう言って二人が腕を回してくる。先程までとの変わりように、冒険者達は恐怖を顔に貼り付けていた。俺は全てをスルーし、依頼達成の報告に向かった。




 そして依頼の報酬を受け取った後、俺たちは《安らぎの宿》で夕食を取っていた。



「うん。ここは相変わらず美味しいな」

「ですね〜!ほっぺが落ちそうです!」

「おかわりください!」



 二人にも絶賛のようだ。ラミアに至ってはおかわりまでしている。食費がかさむが、まあいいだろう。



「そうだ。二人に相談があるんだが」

「「相談?」」

「ああ。このローランス王国を出てセーナ大陸に行こうと思っている」

「セーナ大陸······ですか」


「もしかして、私の故郷とかにも行くのですか?」

「まあそのつもりだ。他にも色々回るけどな。それで相談っていうのはソフィーナの事なんだよ」

「······この王国を出られるか、ということですか?」

「端的に言えばそういう事だ」



 ソフィーナはこの国の王女だ。いくらパーティーメンバーで、婚約者だからといって、おいそれと他国に連れ出せるような立場の人ではない。最悪······



「最悪、ソフィーナは来れないかもしれない」

「そんな······私はアルマ様と一緒にいたいのに······」

「ご主人様。どうしてそこまでして行きたいのですか?」

「それを話すには、ソフィーナにも俺の事を説明しておかなければならない」

「もしかして、《龍の峡谷》の時に言っていた······?」

「ああ。とりあえず、話は食べてからにしよう」



 そうして俺たちは、早めに夕食を食べ終えた。ソフィーナは終始寂しそうであったが。





「それで、アルマ様のことについて······でしたよね」

「ああ。とりあえずステータスを見てくれ。二人とも」

「「はい」」



 そう言って俺は二人にステータスを見せた。ラミアは事前に知っていたので普通だったが、ソフィーナはやはり驚いていた。



「アルマ様は転生者だったのですか······」

「ああ。······幻滅したか?」

「······なぜ?」

「俺のこのスキルは他人からもらったものだ。俺に惚れたソフィーナに対して、嘘をついていたのさ」



「······それでも、アルマ様はアルマ様です」

「······え?」

「どんな理由があろうとも、私はあなたに恋をしたのです。その想いだけで十分ではないのですか?」

「そうですよ。ご主人様。そんなの些細なことですよ」



 思わず涙が出そうになるが、必死に堪え返事を返す。



「二人とも······本当にありがとうな」

「これくらい当然ですよ。アルマ様」

「それより、その話とセーナ大陸に行くことが何か関係があるのですか?」



 ラミアがあっさり話題を変えてきた。もう少し感傷に浸らせて欲しかった。いいけどね?



「まあ一応な。俺は一度、この世界を見て回りたいと思っている。異世界に対する憧れってものかな」



「······わかりました」

「ん?どうした?ソフィーナ」

「私もあなたについて行きます!ええついて行きますとも!」

「えっ······大丈夫なのか?」

「大丈夫です!無理矢理でもお父様に許可をとります!」

「えぇ······そんなもんなの?」

「そんなもんです!」



 ソフィーナはてこでも動かなかった。仕方ない。王様に許可がもらえるなら、連れていくか。



「わかった。けど、正直何が起こるかわからない。その辺は自己責任だからな?」

「はい!わかっています!」

「これからもよろしくね〜?ソフィーナ」

「ええ、よろしく!ラミア!」



 とりあえず色々あったけど、結果的に良い形になったと思う。俺は心の中で安堵した。



「それで······今日の夜は······」

「······あっ」

「私が先ですからね!」

「じゃあその次は私が」

「おい、ちょ、待って······あーっ!」



 そうして俺はその日の夜、童貞を捨てた。なんて言うか······その······まあ結構わりと良かった。



 次の日、王様に(無理やり)許可を取ったソフィーナと少し顔が赤くなっていたラミアと一緒に、俺はローランス王国を出てセーナ大陸へ向かった。








 更なるウサミミを求めて······

これで2章完結です!次回以降(ストーリー説明を除く)は恐らく一日一回投稿になると思いますが、よろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ