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自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
第二章 冒険
26/75

死闘の後には······

「アルマ様っ!アルマ様ぁっ!」

「ん······ああ、ラミアか」

「アルマ様······良かった!」



 そう言ってラミアが抱きついてくる。少し苦しいが、彼女を不安にさせてしまったのは確かだ。これくらいはさせてあげるべきなのだろう。



「······悪かったな。心配かけて」

「ぐすっ······いえ······良かったです······本当に」



 本気でラミアは俺のことを心配してくれていたようだ。俺はこんな奴隷を持って幸せ者だと思った。もう、なるべく彼女には心配をかけないようにしよう。



 そしてしばらくの間、俺たちは抱き合っていた。






「······もう大丈夫か?」

「はい······迷惑かけてすみません」

「なんでお前が謝るんだ。俺こそ悪かった」



 ラミアが泣き止んだ後、俺たちは木影で休んでいた。念の為、邪龍アジダハーカの魔石は回収してある。



「さあ、今度こそ帰るか。またさっきみたいなのが来ても困るしな。というか次来たら確実に負けそうだ」

「そう······ですね。早いとこ帰りましょう!」



 何故か上機嫌であった彼女と一緒に俺は《魔獣の森》を後にした。







 その頃冒険ギルドでは───。



「やばい······!あれは邪龍アジダハーカだ!」

「なっ······!?おい嘘だろ!?そんなの!」

「このままじゃみんなやられちまう!急いで逃げろ!」

「馬鹿言うな!街の人たちを見殺しにするのか!」

「ああそうだよ!自分の命が第一に決まってるだろ!」

「ふざけるな!」



 突然のSS級出現にギルド内に悲鳴と罵声が響き渡る。頭を抱えて蹲る者、住民を守ろうと剣を取る者、自分の命恋しさに逃げ出そうとするものなど、まさしく阿鼻叫喚と化していた。



「クソっ!俺はもう逃げるからな!」

「おい待て!ラルア!」



 ラルアと呼ばれた冒険者がギルドの出口向かって走る。仲間達が必死に止めるが、聞かず逃げようとする。しかし、突然の来訪者にぶつかり倒れてしまった。



「がはっ!いってぇなあ!」

「あ、すいません」



 現れたのは、つい先日Bランクになった新人ルーキー。確か名前はアルマ。奴隷をパーティーに連れているとかなんとか。そいつが急に現れた。どうしたのだろうか。


 そしてギルド内の状況を見たアルマは、



「······なにこれ」



 信じられないものを見るように、ぽつりと呟いた







「おい!確かアルマとか言ったな!そこをどけ!」

「はい?アルマですけど。どうしました?」

邪龍アジダハーカが現れたんだよ!お前達は知らないかもしれないけどな!逃げるんだよ!だからどけ!」


「ああ、そいつなら俺が倒しましたよ」

「·············································は?」



 俺がそういった途端、辺りが急に静かになった。

ん?もしかして信じてないのだろうか。そう思って俺は魔石を取り出し掲げる。



「ほら。これが邪龍アジダハーカの魔石だよ」



 そう言って周りの冒険者達をみる。皆何が起こっているのかわからないと言った顔だったが、段々と理解が追いついていき、一人が大声を上げた。



「ええええええ!?邪龍アジダハーカを倒したぁ!?」



 その言葉を皮切りに、今度はギルド内が絶叫に包まれた。




「「「「「えええええええええ!?」」」」」




 そうして皆が俺に近づいてくる。魔石を確認した後、手を挙げて喜んだり驚きすぎて泡を吹いて倒れるものまで現れた。ラミアは何故か誇らしそうに胸を張っていた。


 そうしているとギルド長のオルバが現れた。



「アルバ君。ラミアさん。ギルド長室に来てくれ。話はそこでしよう」



 そう言って俺たちを案内する。俺は未だ喧騒冷めやらぬ受付をあとにし、ギルド長室へ向かった。







「それで今回の件なんだけど、またやらかしてくれたね」

「まあ成り行きで······仕方なかったんですよ」

「ご主人様ですからね!」



 前回とは違い部屋にいたのはオルバ、俺、そしてラミアだけだった。ロレナさんは仕事でいない。



「それでここに来てもらった理由なんだけど······」

「はい」

「魔石の回収。周囲への注意喚起。そして君の冒険者ランクの昇格だ」

「···また昇格ですか?」

「当たり前だよ。SS級を倒したんだ。間接的に国を救ったと言っても過言ではないんだよ?」


「······そんなもんですかね」

「そんなもんだよ。だから君をギルド長権限でSクラスに昇格する。生憎SSクラスはまだなくてね。それが限界だよ」

「分かりました。それと、魔石も回収ですか?」

「ああ。こちらで回収し処理する。勿論報酬は払う」

「なるほど······分かりました」



 色々と話されたが、要は俺がSクラスに昇格し、邪龍アジダハーカの討伐報酬が貰えるということだろう。



「あ、一応受注依頼の《ブラッディ・ボア討伐》もお願いします」

「わかった。後で両方の報酬を渡すよ。それと」

「それと?」

「Sクラスに昇格した冒険者は国王に謁見することになっているんだ。もちろんパーティー全員でね」


「······マジで?」

「マジだ。だから、色々と準備しておいてくれ」

「はあ······わかったよ」

「了解なのです!」



 もうろくに返事する気も起きない俺と、対照的に元気いっぱいなラミア。お前人生楽しそうだな。羨ましいよ。



 そんなことを考えながら俺たちはギルド室を後にし、

二つの依頼の討伐報酬を貰ってギルドを出た。








ブラッディ・ボア討伐 金貨合計六十四枚

邪龍アジダハーカ討伐 金貨二千枚


総額 金貨二千六十四枚

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