ラミアの冒険者登録
オルバに連れられて、俺たちはギルド長室に入った。
俺とラミアが隣に座り、オルバとロレナが対面する形で反対側に座った。
「とりあえずお互いに自己紹介しておこうか。私はオルバ。ここのギルド長だ」
「アルマ君の、専属受付嬢のロレナです」
ロレナがそう自己紹介した途端、俺の横に座っているラミアの纏う雰囲気が黒くなった。手も強く握ってくる。
「ほら、お前も挨拶した方がいいぞ」
そう言ってラミアに挨拶を促す。ラミアは少し不貞腐れたように、自己紹介をした。
「······ラミアです。アルマ様は私のご主人様です」
「それよ!それ!ご主人様ってどういうことよ!」
「ご主人様はご主人様です!」
······また始まった。ラミアの言葉にロレナさんが反応して言い返す。さっきと同じだ。
「ロレナ。おそらく彼女は、アルマ君の奴隷じゃないか?」
「·········奴隷?奴隷を買ったの?アルマ君」
「ええ。まあ。色々と事情があって」
「ふうん······?そうだったんだ」
良かった。とりあえず納得はしてくれたようだ。ロレナさんはまだ何か言いたそうだったが、とりあえず放っておこう。ラミアにも説明しておかないとな。
「ラミア。この人は俺の専属受付嬢のロレナさんだ。出来れば仲良くしてあげてほしい」
「専属受付嬢······じゃあご主人様の恋人とかではないのですか?ないのですよね?」
「······えええ!?こっ、恋人だなんて······そんなんじゃないよ······」
ロレナさんがあからさまに反応する。彼女に迷惑をかけるのもいけないので、俺からも訂正しておく。
「そんなんじゃないよ。頼れる人、みたいな感じかな」
「······分かりました。とりあえずそれでいいです」
とりあえずってなんだ。俺はまたラミアに話しかけようとしたが、そこでオルバから声がかかった。
「その話は置いといて、本題に移ろうか」
「あ、そうですね。すいません」
オルバにそう促され、俺はラミアの冒険者登録やランクについての話をした。
「なるほど······登録は問題ないよ。誰だってやろうと思えばできるからね。問題はランクの方だ」
「ランク?」
「ああ、アルマ君とパーティーを組んでいるからBランクにするか、登録したばかりだからFランクにするか」
まあ至極当然の話だろう。Bランク冒険者のパーティーに入っているからと言って、そのパーティー全員がBランク相当の実力を持っていないことだってある。互いに援護し合って、ランクを上げていくのだ。
「では······私はFランク······なのですか?」
「うーん······」
オルバが難しい顔になる。駆け出し冒険者をいきなりBランク扱いするのも難しいのかもしれない。
と、そこでロレナさんから援護射撃が入る。
「アルマ君なら、彼女を支えてくれますよ。きっと大丈夫です。責任は私が持ちます」
「ロレナさん······いいんですか?」
「はい。なんてったって私は専属受付嬢ですから!」
「ありがとう······ございます」
そう言ってラミアは顔を俯ける。だが、一瞬見えたその表情はどこか嬉しそうだった。
「······仕方ないかな。今回だけ、特例で認めるよ」
「オルバさん······ありがとうございます」
良かった。これでラミアと一緒に依頼を受けることが出来る。彼女も喜びに満ち溢れたような様子だった。
「それじゃ、これで話は終わりだよ。頑張ってね」
「はい。ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
「アルマ君。ラミアさん。無理しないようにね!」
「はい!ロレナさんもありがとうございました!」
「······ありがとうございました」
ラミアとロレナが打ち解けるのはまだ先のようだ。俺は苦笑いをし、お辞儀をして、ギルド長室を後にした。
───そして冒険者ギルドの依頼掲示板
「ご主人様。どの依頼を受けるのですか?」
「そうだな。ラミアの戦闘能力を把握することも兼ねて、このCランクの《ブラッディ・ボア討伐》にしよう」
「分かりました!私、頑張りますね!」
「ああ。お互い頑張ろうな。けど無理はするなよ」
「はい!」
俺たちは《ブラッディ・ボア討伐》依頼を受注し、前と同じように魔獣の森に向かった。
今日は文化祭があったので投稿が遅れてしまいました...
待たせてしまい申し訳ありません!
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