Episode.ラミア
ラミア視点です。
薄暗い部屋。周りには私と同じように手足を鎖で繋がれ、自由に体を動かせない人達がいた。私だけは腕がないので、他の人よりも幾分か動きやすかったけど。
私と彼女達は奴隷だ。毎日舐め回すように色々な人に吟味され、気に入られた人は買われていく。私達には決定権も拒否権もない。
そうしてここからいなくなった人も家畜のように扱われるか、性欲処理などの道具として利用され、壊れれば捨てられる。そういうものだ。
なんで、こんなことになってしまったんだろう。村の人達に食いぶちとして売られた。しかもその理由が、弓以外ろくに使えないからだった。
ふざけるな。剣が使えなければいけないのか?槍を振るえなければ役立たずなのか?村の人に罵られる度にそう思った。
ここまで来る馬車の中でも冒険者や商人に犯されそうになった。抵抗したら、両腕を切り落とされた。幸か不幸か、それ以上は何もされなかったけど、私は痛みと苦しみで何度も何度も死にたいと思った。
今日も誰かが奴隷を買いに来たようだ。私には関係ない。こんな私に見向きする人なんていないのだから······
でも少しだけ気になり、入口の方を向いて見る。降りてくる人を見て、私は目を見開いた。
この辺りでは珍しい黒髪黒目。身長は子供とあまり変わらずおそらく十歳前後だろう。だが、彼の雰囲気はとても十歳とは思えない落ち着いた感じだった。
その彼が受付の人と話し、私達のいる方を見た。
数度部屋を見回した後、私と目が合う。
綺麗な瞳。整えられた身だしなみ。私は自分の立場も忘れて見入っていた。
すると彼は、何かを決めたのか受付の人と話していた。遠くてよく聞こえないが、おそらく誰かを買うのだろう。そんなことを考えていると······
「ラミア。お客様がお呼びだぞ」
「············え?」
突然呼ばれ、私は何が何だか分からないまま彼らの元に連れていかれた。返事を促され、彼に挨拶をする。
「ラミアと言います······よろしくお願いします······」
「ああ、よろしく。俺のことはアルマと呼んでくれ」
「わかりました······アルマ様」
こうして私は、ご主人様の奴隷になった。
「それで······ラミアを買った理由なんだけどさ」
「はい······」
奴隷商を後にし、私はご主人様の泊まっている宿の個室に連れてこられた。少し緊張するが、なぜ私を買ったのか早く教えて欲しくもあった。
「俺の身の回りの世話をしてほしいんだ」
「······え?」
身の回りの世話······つまり家事?なんでそれを私なんかに······両腕がない私にはそんなことは出来ない。むしろ迷惑をかけてしまうだけだ。私なんかをなぜ買われたのか。それをご主人様に言うと、微笑んで返事を返してくれた。
「理由なんてないよ。俺はラミアと暮らしたいと思ったんだ。それじゃダメかい?」
「───」
瞬間、胸が熱くなる感覚があった。目には涙が浮かび上がり、ご主人様の前だというのに思わず泣いてしまう。
そんな私をご主人様は優しく抱きしめてくれた。その時、私はこの気持ちが愛であり恋なのだと確信した。そして私は、何があってもこの人の味方でいようと思った。
その後、回復魔法で両腕を治してもらった時、また泣いてしまった。ご主人様は同じように抱きしめてくれ、今度は私も抱きしめ返すことが出来た。
久々に人のぬくもりを感じられた。改めて、この人に私の全てを捧げようと誓った瞬間だった。
ありがとう。私の王子様。
全く話が進みませんでしたね······。
続きを期待してくださった方、申し訳ありません笑
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