兎人族のラミア
「ここが······奴隷商か······」
冒険者達との茶番を終え、他には特に何も起こらず無事奴隷商に着くことが出来た。
大きさは冒険者ギルドと同じか少し小さいくらいだろうか。二階や三階はなく、高さ的には一階だ。おそらく奴隷は地下室に置かれているのだろう。俺はそんなことを考えながら、玄関前の扉を開き中に入った。
中には受付や地下に下る階段があり、奥にはかなりの数の個室があった。あそこで契約などをするのだろう。
俺がぼーっとしていると、唐突に声がかけられた。
「奴隷をお探しでしょうか?」
そう言ってきたのは受付の男性。見た目は初老くらいの年齢だが、商人特有の鋭い目をしている。スーツを着ていて、屋敷とかにいる執事を思わせる立ち振る舞いだ。
「はい。家事の出来る奴隷を。できれば女性で」
「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
そして俺は受付の人に連れられて、地下に向かった。
「ここには様々な用途の奴隷がいます。身の回りの世話をさせる家事奴隷、戦力増強目的の戦闘奴隷、自分の性欲を解消させる性奴隷などです。今回の希望は家事奴隷ということでよろしかったですか?」
「それでお願いします」
「かしこまりました······着きました。ここが家事奴隷達が置かれている部屋です」
その部屋は暗く、身体を視認するのがやっとであった。
次第に目が慣れて彼らを見ると、女性の奴隷達がいた。
容態は様々で、手足が欠損している者や喉が潰れて喋れない者、今にも死にそうな者もいた。まさに混沌。
「······彼女らに家事ができるんですか?」
「あなた様は、聖魔法······回復魔法が使えますよね」
「······俺言いましたっけ。そんなこと」
「勘ですよ。勘。ほっほっほ」
カマをかけられた。全く油断も隙もない······
「使えるといえば使えますが、あまり他には言わないでくださいよ。面倒事はごめんなので」
「かしこまりました。それで、どの奴隷になされますか?」
「そうだな······」
俺は彼女達を見る。大人の女性から幼児程の歳であろう少女まで様々だ。そんな中、俺は一人の奴隷に目をひかれた。
宝石のような輝きを放つ銀色の髪。その間からは長い耳がぴこぴこと動いている。おそらくは兎人族と言うやつだろう。しかし、俺が彼女を気にした理由は他にある。
────そう、両腕の肩から先がなかった。
その上彼女の顔にはなんの感情も見て取れない。まるでこの世界の全てに絶望しているようだ。
「······あの娘をください」
「······本当によろしいのですか?」
「ああ。怪我なら治せるからな」
「かしこまりました。それでは彼女を連れてこさせますので、その間に支払いと行きましょう」
そう言って俺たちはその場を後にした。
「それで、彼女はいくらなんだ?」
「本来なら最低でも金貨数十枚が必要なのですが······あのような状態なので金貨一枚でよろしいですよ」
「わかった。これで頼む」
俺は金貨を一枚渡した。その後、疑問に思っていたことを聞いてみる。
「もしかして、兎人族ってやつか?」
「はい。兎人族は珍しい種族なので、価値はかなり高いのですが、いかんせんあのような状態なので······」
「なるほどな······とりあえず、邪険にはしないよ」
「そうして頂けると助かります」
そんな話をしていると、彼女が連れられてきた。
「ラミアと言います······よろしくお願いします······」
「ああ、よろしく。俺の事はアルマと呼んでくれ」
「わかりました············アルマ様」
こうして俺は、奴隷のラミアと出会った。
新しい仲間が加わった!(生活面)
今後はラミア視点なども書いていこうかなと思います。
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