昇格
受付での一悶着の後、俺はロレナさんに呼ばれてギルド長室に案内されていた。そこで俺は初めてここのギルド長と対面することになった。
「私が、ここのギルド長のオルバだ」
「アルマと言います。よろしくお願いします」
オルバは見た感じは普通の元冒険者という感じだ。体つきもゴルム程ではなく、レストアに近い感じだ。だが彼の纏っている雰囲気は、戦場をくぐり抜けてきた猛者のそれだ。伊達にギルド長を名乗っている訳では無いらしい。
「にしても驚きだね。Fランクのかけ出しがCランク冒険者を倒すなんてねぇ」
「何かいけなかったでしょうか?」
「いやいや。何も問題はないよ。礼儀を弁えてこその冒険稼業だからね」
「そう言ってもらえるとありがたいです」
良かった。何か罰せられるとかではないようだ。
「君をここに連れてきてもらったのは他でもない。ロレナを助けてくれたことに対する感謝とお詫びだよ」
「別にそんなものはいらないですよ。助けようと思って助けただけですから」
「でもね、我々も少なからず君に感謝しているんだ。もちろんロレナもね。受け取ってもらえないかい?」
······何か同じような会話をアリアともした気がする。まぁ、一応受けとっておくか。
「分かりました。それで、何を頂けるのですか?」
「謝礼金の金貨三十枚と、Bランク昇格だ」
「······え!?」
とんでもなかった。まず金貨だが、一枚あれば一ヶ月は余裕で生活できる。それが三十枚だ。今後数年はお金に困ることはないほどの金額である。
続いてBランク昇格だが、これは冒険者ギルド始まって以来の特例らしい。王都での恩恵や、ギルドの高待遇等が得られるが、指名依頼を受けることもあり、メリットばかりということでは無い。
だが、Bランクというのは冒険者たちの目標であり憧れ。それに一気に昇格とはもはや常識の範疇に収まらない。
「あの、本当にいいんですか?」
「いいさ。ロレナの事に比べたら金貨三十枚なんて安いし、Bランクにしておけばお互いにメリットもあるしね」
「······なるほど」
つまりは指名依頼等で俺を有効利用しようということだろう。少し気が乗らないが、言ってもそれだけだ。貰えるものは貰っておこう。
「分かりました。では俺はBランク冒険者になるんですね」
「ああ。正式には明日からだがな。今日は手続きだけだ」
「はい。了解です」
「あ······あの!」
「どうしました?」
俺がオルバとの話を終えると、絶賛空気状態だったロレナが声をかけてくる。少し頬が赤い。
「先程は、本当にありがとうございました!」
「いえいえ、ロレナさんが無事で良かったですよ」
「あの······もしよろしければ、私をアルマさんの専属受付嬢にさせてもらえないですか?」
「······いいんですか?」
「はい!」
これはラッキーだった。専属受付嬢になれば、ありとあらゆる面で自分をサポートしてくれるのだ。むしろこちらからお願いしたい所であった。
ちなみに互いの了承の後、冒険者が最終的に判断するという形だ。先程のような無理矢理なことにはならない。
「分かりました。では、これからよろしくお願いします」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言って彼女は満面の笑顔で返事をした。お互いに見つめ合う形になり、恥ずかしくて目を逸らしてしまう。心無しか顔が赤くなっていた。お互いに。
そんな俺たちの事を、オルバは微笑ましそうに眺めていた。
こうして俺は、多額の金貨とBランク冒険者としての資格を手に入れたのであった。
ステータス云々は、次の話で整理しようと思います。
ごっちゃになって申し訳ないです...笑
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