妖精王アリア
妖精に連れられて、俺は彼女達の住処に案内された。
ふむ、意外と広い。ローランス王国の冒険者ギルドと同じくらいか、それよりも広いかもしれない。体のサイズが小さいのに、こんなに大きくするものなのか?
俺がそんなことを考えていると急に声がかかった。
「あなたが、我々を助けてくれたのですか?」
「······?」
そう言って、目の前に大人の女性程の妖精が現れた。恐らくこの辺りの妖精達のリーダー、お母さんのような感じだろう。
腰まで伸びた蒼色の髪に、天使のような純白のヴェール。背中には一際大きい羽が生えており、どこか神秘的なオーラを纏っているようにも見える。
思わず見とれていたが、我に返り返事を返す。
「助けた······とは?」
そう、俺はモンスターを倒していただけで、妖精を助けた記憶など持っていないのだ。だが彼女は「助けてくれた」と言っていて、話が噛み合わなかった。
「あ、申し遅れました。私は妖精王のアリアと申します」
「アルマです。よろしくお願いします」
どうやらアリアという名前らしい。普通だな。
「それで先程の事ですが、俺は妖精を助けてなどいないと思うのですが」
「直接的にはそうかもしれませんが、先程の超級魔法はあなたのものでしょう?」
「はぁ······まぁ······」
「あの魔法の影響で、我々に被害を被る魔物が根こそぎいなくなったのです」
「あぁ······なるほど」
知らぬうちに一種族を助けていたとか飛んだミラクルだな······しかも妖精族か。異世界じゃテンプレだな。
「あなたにはそのお礼をと思ったのです」
「あ、お礼なんていりませんよ。俺はむしゃくしゃして魔法を使っただけです。感謝される筋合いはありません」
「······我々の感謝を受け取っては貰えないのですか······?」
そう言ってアリアは近寄ってきて上目遣いで見上げてくる。
贔屓目抜きにして美女な上に妖精王だ。付くものもついている。色々とヤバくて非常に宜しくない。
「まぁ······まあ貰えるのなら貰っておきますよ······」
「本当ですか!ありがとうございます!」
そう言ってアリアは抱きついてくる。何か柔らかい感触が体を刺激してくる。やめて!それ以上はまずい!
俺が何とか彼女を引き離すと、見るからにシュンとしていた。
······妖精王がこんなんで大丈夫なのか?まあ気にしないことにしよう。······悪くはなかったし。
「それで、何を貰えるんですか?」
「ええと、《妖精王の寵愛》と妖精剣です」
「······え?いや、ちょっと待って!?」
「どうかしました?」
「いやいやいや、そんな見るからに凄そうなスキルとか武器とか貰えませんって!」
「受け取って······くださらないのですか······?」
また上目遣いで懇願してくる。反則だろ。これ。
「いや、さすがにそんな大それたものは······」
「いいのですよ。我々を助けてくれたのです。逆にこれでも足りないくらいです」
「わかった。その二つで大丈夫だ」
ここで了承しておかないと、とんでもないものを渡されかねない。俺は素直(?)に受け取ることにした。
「······もう行かれるのですか?」
「ああ、まだ依頼の途中だしな。」
「そうですか······それではこれを渡しておきます」
そうしてアリアは俺の右手薬指に青色の指輪をはめた。
「これは?」
「妖精王の指輪。魔力が内蔵されているので、戦闘時にあなたを守ってくれます」
「······凄いな。まあ、とりあえず貰っておくよ」
「はい!······たまには、遊びに来て下さいね?」
「わかった。暇な時にまた来るよ」
こうして俺は優しい妖精達に見送られ、ローランス王国の冒険者ギルドへ戻るのだった。
加護と武器をもらい、更にチートになりました笑
今後の活躍にご期待ください。笑
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