世界大会編「カルチョ」
インターナショナル杯イタリア大会。
グループリーグの激闘を終え、ベスト16のチームが出揃おうとしている、グループリーグが終わると休む間もなく決勝トーナメントの1回戦が始まる為、俺たちは1回戦の対戦相手イタリアのスカウティングを行っていた。
「私の祖国、イタリアはかなり手強いぞ。しかしお前達にも勝機はある、まずは先に絶対失点するな、これは絶対だ。」
力強くマッテオーリが話すように、イタリアは先制した試合での勝率は80%を越えている、スタイルの変貌を遂げた今もカテナチオは健在だ。
センターバックのマルケッティは今季のイタリアリーグ優勝チームのトリノFCのキャプテン、パートナーのバルデス、左サイドバックのシリウスとも同僚で、右サイドバックのカルドナも元々はトリノ所属でドイツ同様「ユニット連携」を可能にする。
「舞川!クローネとお前、どちらが前線で収められるか、膝も状態もあるが、期待してるぞ!」
マッテオーリの発破に続けて、分析班は今大会の前線でのキープ時間のデータを掲示した。
1位はイタリアのクローネ、2位は舞川さんだった。
「任せてください!みんな困ったら俺に目掛けてロングボールをください!」
グループリーグ最終戦を休息した舞川さんはやる気に満ちており、頼りになりそうだ。
そして、スカウティングが続き、焦点は中盤に移った。
賀茂さんと俺がいつものように水平に並ぶ形ではなく、賀茂さんが中盤のプレーメーカージョゼにマンマークでつく形、俺は実村さんとコンビでコンティに対抗するというプランになる。
「ジョゼはとにかくタッチを重ねる事でリズムを作ります、賀茂さんはとにかくすっぽんでお願いします、コンティのダイナミズムも脅威です、丈留と実村さんはマークの受け渡しを明確に。」
ジョゼとチームメイトの勇士さんは彼らの特徴を説明し、これに対して俺たちは声を揃えて「了解!」と応えた。
そして秋山ヘッドはディフェンス陣に対し相手エースのセルジーニョに対する対策を画策する。
竜崎さんを初めとするバックラインは冷静にモニターを見つめ、話し合っていた、セルジーニョをどうするのか、ある意味この試合での最大の争点になりそうだ。
そしてマッテオーリは拳を右胸にあてゆっくりと声を上げる。
深く刻み込まれたシワは数多にも及ぶ歴戦を連想させ、表情からはこれから挑む祖国との戦いに向けた覚悟が読み取れた。
「私はイタリア人だ、けれと今は、このJAPANチームを率いる今は日本人だ。歴史を変えに行こう、その準備はもう出来ているはずだ!」
歯ぎしりがこちらにも聞こえそうなくらいにマッテオーリは力強く俺たちを鼓舞した、もちろん俺達もこれに応えない訳がなかった。
「よっしゃあ!行くぞ!!」
ー
グループリーグリーグを終え、インターナショナル杯は今日からノックアウトラウンド、即ち決勝トーナメントだ。
これから起こるスペクタクルな光景に胸を踊らせるサッカーファンたち、このお祭りにチーム、そして一選手として参加出来る幸せを噛み締める。
そして傍観者ではなく、歴史を変えるためにピッチに向かうのだ。
高揚感と緊張感の狭間で身震いさせながら会場入りし、カルチョの国、イタリアとの1戦を迎える。
お久しぶりです!!
W杯ももう少しで終わりますね...
まずは日本チームに大きな敬意を!!




