表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/115

プロ編「新たな生活」

新登場人物紹介

史恵・・・寮母、選手たちから「フミさん」呼ばれ慕われる。得意料理はカレーライス。

佐武克秀・・・ヴィルモッツの監督を今季から務める、現役時代はシンボル的選手。

安城勇士・・・ヴィルモッツのキャプテン。20歳にしてチームのキャプテンを務める、世代別代表選手。圧倒的な空中戦の強さを誇る。

 3月最初の土曜日、日本サッカーのプロリーグが開幕する。

 今やサッカーは日本のスポーツ界においてプロ野球と並ぶビックエンターテインメントだ。

2部とは言え、有明ヴィルモッツは古豪の人気チーム。

 新シーズンの幕開けには多くのサッカー好きが詰めかけた。

 俺はメンバー入り叶わずスタンド観戦する事になった。

 憧れたプロの舞台はそう容易なものではなかった。



 2月下旬、俺は光希の手続きもあり、特別に高校卒業後のチーム合流の許しをもらっていた。

 俺はチームのクラブハウスに隣接する選手寮にお世話になる事に。

「懸上丈瑠です。

 今日からよろしくお願いします!」

「ええ、あなたが懸上くんね、よろしくね。」

 寮母の史恵(ふみえ)さんだ。

 権田川さんの話では選手達から慕われていて「フミさん」と呼ばれているらしい。


 俺は自分の部屋に入る前に各部屋の先輩の挨拶回りをした。

 ここには未婚の選手たちや、まだトップで出場機会の薄い選手たちが多い。

 また別館にはユースチーム所属の選手もいる。

「おー、懸上ちゃんやん! 久しぶり! 頭大丈夫やったか!?」

 聞き覚えのある関西弁が俺の頭に響いた。

「光宗君か、丈瑠でいいよ。

 これからはチームメイトとしてよろしくな。」

 鳳条の光宗だ。

 俺と同じくヴィルモッツに入団した。

 隣部屋に顔見知りがいるのは少し心強い。


 翌日早速練習に合流する事になったが、シーズン開幕一週間前に控えたチームはピリつきも見られる。

「監督。

 よろしくお願いします!」

「お前が丈瑠か、寛が猛プッシュした選手だな、映像は確認している。

 期待してるよ、早くチームにフイットしてくれ。」

 監督の佐武(さたけ) 克秀(かつひで)さん。

 現役時代はヴィルモッツ一筋、出場試合は500を昇る。

 ミスター・ヴィルモッツと呼ばれた男で、今季からトップチームの指揮を執る。

 他にもヘッドコーチのフランス人、ニクソンさんなどコーチ陣にも挨拶を済ませた。


 始めての練習はレベルの高さに戸惑い、俺は何も出来なかった。

 戸惑いを感じる俺に、キャプテンの安城(あき) 勇士(ゆうじ)さんが声をかけてくれた。

 安城さんはセンターバックを主戦場にし、20歳の三年目にしてキャプテンを務める期待のホープだ。

 世代別代表の大黒柱でもある。

「新人、合流初日何もしてやれなくてすまんな。

 だがチームはお前に合わせてられる時間も余裕もない。

 今年は昇格狙ってんだ、お前の力が必要になる時が来る、だから腐るなよ。」

「いえ、もちろんです。

 早く皆さんについていけるようになります。」


 しかし、とにかく練習についていくのがやっとで紅白戦にすらメンバー入りできない日々が続いた。

 当たり前にパススピード、ボディコンタクトその全てのレベルが高く、今までに体験したことの無い不甲斐なさを感じる。

 俺は少し美由の声が聞きたくなった。

 笑いながら話す彼女に背中を叩かれるように俺は励まされる

「なーに、もう怖気付いたの? そんなことで負けちゃダメ。

 いつでもこうやって電話して来ていいから頑張りなさいよ。

 おじさんとおばさん達に顔向けできないわよ。」

 美由の言う通りだ、弱気なってはいけないと自分を鼓舞して翌日の練習に向かった。



 こうしてスタンド席で迎える事になった開幕戦。

 有明ヴィルモッツは2部で迎える二年目のシーズン。

 かつての輝きを取り戻すためにも絶対昇格を掲げる1年だ。

 対戦相手は同じく昇格を目指す京都サイモンズ。

 2部で最も魅力的なサッカーを展開するチーム。

 いきなりの注目カードで迎えた開幕戦の火蓋が切って落とされる。

 スタメンには勇士さんはもちろん、サプライズとして光宗が開幕スタメンを勝ち取った。

 しかし、試合は意外な形で動く事になるのであった。

今回はONE OK ROCKの「The Beginning」を聴きながら作りました。

プロ編もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ