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世界大会編「鉄壁」

サッカーの祭典インターナショナル杯が連日行われ、

開催国であるイタリア各地でグループリーグが行われ、2節を終えた段階で続々と決勝トーナメント進出チームが決まり始めていた

そして、グループAでは開催国イタリアが全勝でグループ通過、見事にサポーターの期待に応えてみせた。

グループBは現地時間7時キックオフ、試合会場は第2節と同じくフィレンツェ。

先に状況を整理しておくと、俺たちは勝ち点3の得失点差+2、対するスイスは勝ち点1の得失点差-5。

つまり、通常なら3点差以上で負けなければひっくり返されることはない。

しかし、この大会では得失点差より該当チームの結果が優先されるため、負ければ一気に敗退に追い込まれる可能性もあるのだ。


グループリーグ最終節のスターティングメンバーに俺の名前は無かった。

マッテオーリは前日の会見で語った通り、”ターンオーバー”を敷いてきた。

システムは3-5-2。

スリーバックはマルチロールの瀬川さん、スイスの高さ対策でセンターにヤンコ、左には勇士さんが構える。

ウイングバックは右に南川さん、左に坂上さん。

中盤センターの3人は(アンカー)に垣屋さん、前に実村さんと樫原が組む。

ツートップは光宗と橋本さんが入った。


「くー!出たいなぁ。」

ベンチでは悔しそうに先崎さんが唇を噛み締める。

「まぁ、俺たちは後半の出番に備えて戦況分析と、アップに励もう! 」

賀茂さんは今日も冷静だ。先崎さんを諭したあと、髪をかき分けてヘッドバンドを当てた。


試合が幕を開ける、勝ち点3が必要なスイスだが、守備のブロックを形成してきた。

「守備からリズムね。」と秋山コーチが笑った。

引いているスイスに対して遅攻を強いられる日本だがチャンスを初先発の選手が多く、序盤は稚拙な攻撃を繰り返してしまう。

中から崩そうにも舞川さん不在は色濃く影響し、前線でのタメを作ることが出来ない。

そんな中で、樫原と実村さんのコンビネーションからアタッキングサードに侵入し、樫原はらは絶妙なスルーパスを通す。

「そうだ!お前には俺にはない裏の抜け出しがあるだろ!」

舞川さんが立ち上がる、金髪に染めた髪を靡かせ、光宗はネットを揺らすことに成功する。

「マイちゃんうるさい、あれ見なよ。」

米田さんが指差す先は副審、オフサイドの判定が下されていた。


一方、ピッチでは光宗は頭を抱え悔しがる。

「くそっ!なんでやねん!」

「お前のデータは収集済みだ。」

「けっ、お前みたいなタイプ嫌いだわ。」

スイスセンターバックのジュリアスは鼻で笑い、ビッテンフェルトは舌を出す。

「何言っとるんかわからんわ!」

負けん気の強い光宗は取り合おうとはしなかったが、この後スイスディフェンスに封殺されてしまう。

普段の練習からおたがいをロープで括りつける程、距離感やラインコントロールを成熟させているスイスディフェンス陣だが、やはりジュリアスとビッテンフェルトのコンビは郡を抜く安定感だ。

スピード、パワー共に世界水準で今大会でも一二を争うコンビだ。


そして徐々にスイスも攻撃を開始する。

左ウイングのセーレンセンがドリブルで仕掛けチャンスを演出する。

爪を噛みながら、戦況を見つめるマッテオーリ。

南川さんの守備力を突いてくるスイスのスカウティング能力の高さに対して頭の中でシュミレーションし、策を講じていた。


放送席では実況アナウンサーがここまでの展開を憂うコメントを出すが、解説の元チームメイト、修さんは否定する。

「いやー、ここまで光宗が抑えられると厳しいですね、橋本もここまでは沈黙しています。」

「いや、光宗選手は大丈夫です。この1年間の成長は目を見張るものがあります、きっとやってくれます。」

修さん、そして日本の期待を背負う浪速のストライカーは結果を残す事が出来るのだろうか。

連日のW杯最高です!

と言いたいのですが、帰省中に地震直撃。

なかなかショッキングですが、こんな時こそ前向きに行きましょう!

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