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世界大会編「開幕戦」

 各大陸の厳しい予選をくぐり抜けてきたものだけが与えられるインターナショナル杯の本選。 

 開幕戦は開催国イタリアと北中米カリブ予選3位のホンジュラスが相見える。

 会場となるのは首都ローマのオリンピアスタジアム。

 俺たち日本代表の第1節はここで行われるため、午前の軽めの調整を終えた後、視察を行う事になった。

 ちなみにグループAのチームとはグループリーグを通過すると対戦の可能性がある。

 開幕戦は満員の大観衆。

 華やかなセレモニーは大会の幕開けを彩る。

 選手入場後、国歌斉唱が行われるがイタリアのテノール歌手の声量には驚かされた。

 選手達の士気を上げるには十分のパフォーマンスだろう。

 そしてついに開幕。

 1ヶ月に渡る夢の祭典が幕を開けた。


 試合はイタリアペースで展開される。

 左シャドーに入った19歳のセルジーニョは変幻自在のタッチでサイドを制圧する。

「俺、ちっさくてすばしっこい奴は苦手だな。」

 対戦するとマッチアップする事になる唐川さんは珍しく嫌そうな顔をする。

 セルジーニョは165cmという低身長を逆手にとった重心の低いドリブル、そして多彩なフェイントが得意の選手だ。


 俺たちは食い入るように試合を見つめる。

 やはり球際のバトルは激しく、そしてイタリアの守備は非常に統率されている。

「守備の決まり事が本当に多いんだよ。

 数センチ単位でポジションの修正が多くてさ、苦労してるよ。」

 イタリアリーグでプレーする勇士さんは日々の苦労を語る。

 そうは言いながらしっかりチームでレギュラーポジションを獲得したのだから、本当に頼りになるセンターバックだ。


 すると、試合は動き出す。

 27分にセルジーニョがあげたクロスをセンターフォワードのクローネが叩き、イタリアが先制。

 サポーターは喜びを爆発させ、ボルテージが一気に高まる。

 ここからアズーリはゴールショーを見せる。


 6-0。

 このスコアに俺たちは少なからずの衝撃を受けた。

 新生アズーリのサッカーは以前までの1-0、「ウノゼロ」の美学から大きく変遷していた。

 マッテオーリによると、国内では前回大会のグループ敗退が大きく取り沙汰され、新監督はテクニカルな文化が印象的なスペインから招聘するといった賭けに出たらしい。

 これが化学反応を起こし、守備は勿論、あらゆる面で相手を制圧するサッカーへと進化を遂げたようだ。

 グループを突破できれば、イタリアとの対戦も楽しみだ。

「みんな、帰るぞ! 帰って明日の準備だ。

 まずは明日の試合、勝つぞ!」

「うす!」

 キャプテン竜崎さんの一声に皆が戦闘モードに入った、普段はマイペースの米田さんも明らかに目付きが違う。

 俺たちは会場を後にした。

 

 決戦の日を迎える。 

 イタリアインターナショナルカップ、マッチデイ2。

 グループB第1節、日本対エジプト。

 俺たち日本の開幕節の対戦相手はアフリカ代表エジプト。

 アフリからしからぬ、ヨーロッパ次込みのテクニカルサッカーは要注意だ。

 4-3-3のシステムで、ポゼッションを高めながら、両ウイングの仕掛けでゴールを狙ってくるスタイルだ。

 特筆すべきは右ウイングのモハメド・アルだ。

 今シーズン公式戦20ゴールをたたき出しているアタッカーで、「神の左」と形容されるキックには注意が必要だ。


 対する俺たち日本は4-2-3-1のシステム、キーパーは徳重さん、両サイドバックは右に唐川さん、左に右松さんが入る。

 センターバックは竜崎さんと勇士さんのコンビで中盤センターは俺と加茂さん。

 2列目には右から樫原、橋本さん、米田さんが入り、ワントップの位置には舞川さんではなく、実村さんが入った。


 いよいよキックオフ、深呼吸して空を見上げた。

 俺たち日本代表の開幕節がキックオフする!

ワールドカップまでいよいよ1ヶ月と少しですね!!

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