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チャンピオーネを聴くまで  作者: 登々野つまり
海外編(フランスリーグ)&予選編
75/115

フル代表編「青写真」

 主審が告げる試合終了のホイッスル。

 俺たち日本は歓喜、重責を果たしたヤンコはピッチに寝そべり空を見上げている。

 俺はベンチで樫原と固い握手、彼の表情にも白い歯が見えた。

「お疲れ様、何とかやったね。」

「ああ、本当に良かった。」

 俺たちは久しぶりの代表戦だったが、しっかりと爪痕を残す事に成功した。

「おい! 最後までしっかりやるぞ!!」

 竜崎さんはここでもきっちりとチームを締める。

 すぐに整列を促し、まずは礼を促した。

 一方、ホームのオーストラリアは握手を交わしたあとに項垂れる。

 膝をつき両手の人差し指を空に掲げて髪に祈りを捧げる選手も散見される。

 そして数秒後、スタジアムの沈黙は歓声に変わる。

 なんとイランが敗れた結果が伝わり、ベンチの選手達がピッチになだれ込む。

 オーストラリアのバッカスはヤンコに手を差し伸べて、共にW杯決定を分かちあう。

 この結果により、日本の首位、そしてオーストラリアの2位での突破が確定した。


 改めて、ロッカールームで本戦出場への喜びを爆発させる俺たち。

 右松さんは息子さんとテレビ通話をしているらしく、俺は呼び止められた。

「おう、丈留。

 息子がお前のファンなんだ、一言頼む。」

「わかりました! こんばんは!」

「こんばんは! 懸上選手、おめでとうございます! いつも応援してます!」

 少し小っ恥ずかしい気持ちはあったが、息子さんに一言挨拶をした。

 難病でベッドの上での生活を強いられているそうだが、にこやかな笑顔は俺に勇気をくれた。

「丈留ちん、流石にこの二試合は俺も疲れたわー。」

「米田さん、キレキレでしたね!」

 米田さんはどっと疲れた声色で俺にもたれかかってくる。

 この2試合での米田さんのドリブルは凄まじく、本番でも世界を恐怖の淵へと追い込むだろう。

 いつもはストイックな選手たちもこの日は勝利の美酒に酔いしれた。



 翌日のシドニー国際空港。

 俺たち海外組は日々の闘いに戻るべく、そのまま各地へと発つ。

 国内組は帰って報告会見だ。

 そして彼らもまたシーズン開幕直後だ、今シーズンはどのチームが優勝するのか楽しみだ。

「タケル、grazie」

「監督、こちらこそ!」

「クラブでコンディションを落としたら本大会は呼ばないからな。」

 マッテオーリは俺の肩を掴み、一声かけた。

 当初は俺の事を認めていなかった彼だが、この2試合で随分印象が変わったそうだ。

 何より、プレッシャーのかかる監督業だ。

 少しくらいゆっくりして欲しいが来月にはグループ分け抽選会だ。

 すぐに強化策を練る必要がある。

 それぞれの戦いを胸に、俺たちは解散した。



 翌月のインターナショナル杯のグループ分けが行われた。

 俺たち日本のグループはB。

 ポット1は優勝候補最有力のドイツ、ポット2は曲者スイス、そしてポット3は俺たち日本、ポット4はアフリカのエジプトという、グループ構成になった。

 いよいよインターナショナル杯も近づく頃、俺は所属チームの国内リーグ優勝をかけ、最終局面に入った。

それにしても日本代表のニュースは衝撃でしたね...

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