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チャンピオーネを聴くまで  作者: 登々野つまり
海外編(フランスリーグ)&予選編
63/115

海外編「追われる立場」

 唐澤さんとの日本人対決となった1戦、早いもので後半も残り10分を迎える。

 ホームスタンド側では選手達を鼓舞しようとサポーターが大きな声を張り上げる。

 残り時間を耐えるとついに首位浮上だ。

 シャルドネの突破からケネディが合わせ、先制に成功した俺たちモナコSFC。

 対するソールベージュは唐澤さんをボランチの位置に押し上げ、スリーバック気味にシステムを変更してきた。

 対する俺たちも前線のミレウスに代えて中盤を一枚増やして対抗する。

 こうして集中力を切らさずしっかりと守り続ける。


 そして、勝利を確信しかけた後半アディショナルタイム。

 ソールベージュの攻撃は右サイドから相変わらずサッチャーがドリブルで突っ掛けてくる。

 左利きのサッチャーは意表を突いてトゥーキックでクロスを入れる。

 センターバックのゴンザレスが相手FWに対してシュートブロックに入るがこのボールをスルー。

「奥の手は隠しとくものだよ!」

 ゴール前にはこの日初めて飛び出してきた唐澤さん。

 しかし俺は決して彼への警戒は緩めていなかった。

 ギリギリでボールをインターセプトして最前線に残っていたシャルドネへロングフィード。

 90分間を戦った相手DFにこの日キレキレのシャルドネを止める術はなかった。

 独走し、ゴールゲット。

 土壇場で突き放した俺達、レフェリーの笛が鳴り響く。

「よっしゃァ!! タケル! ナイスパス!!」

「いや、お前こそ良くやったよ!」

 シャルドネは俺の背中に飛び付く。

 スタンドからはシャルドネコールが鳴り止まない。

 俺たちは喜びを爆発させ、気を引き締めようとバソングが試合後のミーティングで一致団結の言葉を語り、さらにモナコSFCの結束は強くなった。


「丈留君。

 お疲れ様! 首位おめでとう!!」

「お疲れ様です、唐澤さん。」

 デーゲームだった事もあり、唐澤さんと試合後に食事に出かけることになった。

「ポイントは2月のパリ決戦ってところかい?」

「そうですね。

 そこまでまず連勝する事はマストですね。

 そして何よりパリには前半戦ボコボコにされてるんで借りは返したいです。」

 パリとは、『パリFC』の事で国内最大のビッグクラブだ。

 ディフェンスから前線まで超一流を揃えていてるチームだ。

 2月に直接対決を控えており、ターニングポイントになりそうな一戦だ。

 そして話は代表での話題に切り替わる。

 俺が不在の間、順調に日本は勝ち星を上げ、残り6ポイントでインターナショナルカップの切符を手に出来そうだ。

「丈留君、君の力が必要な時は絶対に来る。

 監督も分かってるはずだからどうかその事は留意しといて。」

 俺は「もちろんです」と答え、代表についての意見交換を続けた。

「それじゃあまた次の機会に。

 今日はありがとう、健闘を祈るよ。」

「ありがとうございました! またやりましょう!!」



 二週間が経ち、代表ウイークを迎えたが相変わらず招集メンバーに俺の名前は無かった。

 日本代表は楽勝ムードから一転して二連敗。

 残り二試合で最低でも一勝しないと敗退という危機に瀕していた。

 俺はというと、好調をキープしチームは首位を快走。

 パリとの首位決戦をいよいよ次週に控えていた。

 そんな中でオフの月曜日、サッカー雑誌の企画で五藤の密着取材企画が行われる事になった。

実はかれこれインテリスタ12年目なんですが、このチームの補強下手さと来たらため息をが出ますよ本当に。笑

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