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年代別代表編「撃ち合いの様相」

 前半互角の戦いの演じた俺達は1-1でハーフタイムを迎えた。

 後半、試合はオープンな展開になる。


 後半開始と共に両チーム激しくせめぎ合う。

 試合自体はコントロールした俺たちだったが、ロドスの変幻自在のボールタッチのようにアルゼンチンの個人技に対して手を焼く。

 中盤で務さん小気味よくボールをつなぎ、こちらも樫原が個人機を見せる。

「樫原、やりたいようにやれ!」

「ご所望通り、任せてね。」

 相手バイタルエリアでボールを受けた樫原が難しい体制からループ気味にシュートを放つ。

「綺麗だ。」

 思わず声を漏らしてしまうような放物線を描き、アルゼンチンゴールを陥れた。


 樫原のスーパーゴールに会場は息を呑み、数秒の沈黙が訪れる。

 逆転に成功した俺たちだったが、歓びは束の間だった。

 リスタート直後、今度はロドスがバイタルエリアから左足で放ったボールが不可測の動きをしながら日本ゴールのネットを揺らす。

 試合を落ち着かそうとする間もなく圧巻の個人技の前に同点を許してしまう。

 これには思わずチッと舌打ちを鳴らしてしまった俺だが、勇士さんの言葉を思い出し背中を伸ばした。

 ーみんなが俺の背中を見ているー


 勝ち越しを目指し攻め合う両チーム。

「くそっ、ほんとにこいつなんて力強さだ。

 この時間になっても。」

 日本ディフェンス必死の球際の寄せもアルゼンチンCFのマルセルはピクリともしない。

「もうさせるか!」

 反転して放たれたシュート。

 身体いっぱい投げ出した金澤の左手の人差し指で軌道が変わりクロスバーを叩く。

「光宗走れ!」

 こぼれ球を滝口が大きく前に蹴り出す。

 快足飛ばして光宗がキーパーと1対1を迎える。


 光宗が選択したのはヴィルモッツの練習で修さんがいつもアドバイスしていたプレーだった。

「修さん帰ったら飯おごってや!」

右足トゥーキックで放たれたシュートはキーパーの脇下をすり抜けネットを揺らす。

そう、修さんは相手キーパーとの駆け引きについて光宗に教えていた、その一つがトゥーキック。振り抜く必要がない分、キーパーやディフェンスはタイミングが掴めない。


 再び勝ち越した俺たち。

 ここで試合のペースダウンを測って入ったのがサイモンズの加藤さん。

 緩急のついたパスで試合の落ち着きをもたらす。

光宗を下げ加藤さんがボランチに入ったことで俺の守備の負担も軽減され、ロドスにマンマークで対応する。

 俺はロドスのプレーの癖を見つけた。

 右足に持ち替える際僅かに視線が下がる事だ。

「くそっ、しまった!」

 ロドスからボールを奪った所で試合終了のホイッスル。


 ピッチの上でロドスがうなだれるのを引き起こしに行く。

「いやー、お前やるなぁ。

 正直日本の事舐めてたぜ。」

「何言ってんだ、90分間終始お前のプレーには悩まされたぞ。」

 硬い握手を交わした上でロドスが俺に進言する。

「次の相手はスペインだろ。

 惑わされるな、お前らのサッカーやれよ!」


 宿舎に戻ったミーティングで樫原は開口一番「今日の試合は美しくなかった。」と論じた。

 それに皆も同調し、大味になった試合展開を次戦で修正しようと意見が合致した。

「しかし、そんな展開でも勝ったのはお前らだ。

 自信はなくすなよ!」

 モチベーターである監督の言葉には確かな力があり、俺たちにしっかり伝わった。


 次戦の相手は「無敵艦隊」スペイン。

 確立されたアイデンティティの下で魅力的なサッカーを展開し、今大会最も美しいチームと評される。

 そんなチーム相手にどう立ち回るか俺たちは思考を凝らすのであった。

 そして準決勝の前夜に俺に思わぬ吉報が訪れたのであった。

お久しぶりです!!

前回から1ヶ月経ってしまいました。。

私はと言うと...絶賛就活中です、早く終わりたいな。笑

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