年代別代表編「ハイブリット戦術」
ベルギー· · ·欧州クラブで先発を連ねる選手がズラリ。グループ最強の相手。
グループB第2節、俺達の相手は「赤い彗星」ベルギーだ。
欧州の有力チームのスタメンを飾る選手がズラリと並ぶ。
ポゼッションサッカーを信条とし、ストライカーのパラリと左ワイドのガゼーロ、トップ下のイライネは脅威である。
俺達のスタメン、変更点は4-3-3から3-4-3にシステム変更。
ボランチは俺と務さん。
シャドーに樫原と大会初先発の三木原さんでトップに光宗が入る。
南川さんは右WBに入る。
スリーバックのセンターにはなんと滝口が起用された。
現地時間は20:30、気温15℃、夜風が気持ちよく吹く中、キックオフの笛が鳴る。
早速ベルギーはボールを回す。
ガゼーロが左サイドからドリブルで仕掛けるが南川さんと右CBの皆藤さんが素早く寄せて自由を与えない。
トップ下のイライネも俺と務さんの連動した守備からファイナルサードで仕事をさせない。
前日監督が言った事だ。
「明日の戦術は相手の戦術を無力化する、長所を打ち消す。」
守備に人数をかける事で、とにかく気持ちよくボールを回させず、素早いポジションのスライド、チャレンジ&カバーを繰り返しソリッドな守備体制を意識する。
パラリの強引なシュートも枠を捉えることはなく、ベルギーは徐々に苛立ちを募らせる。
そしてゴールキックから俺達はポゼッションに入る。
スリーバックの両サイドは開き、俺と先崎さんがその間にポジションを移しボールを回す。
ボールの奪いどころが作れないベルギーに対して、俺達の戦術はまたもハマる。
ベルギーディフェンスにわずかな隙が生まれる、関西弁のストライカーはこれを見逃さなかった。
「行くぞ光宗!」
「ナイスボールやでタキ!」
リベロで起用された滝口から一気にロングボール、抜け出したのは光宗。
キーパーとの一対一を制して先制に成功する。
ベンチでガッツポーズする監督とコーチ。
してやったりの先制点でスカウティングが見事にハマった形。
ベンチで監督とコーチがハイタッチしている。
「やりましたね!」
「ああ、これでベルギーはさらに焦るはずだ。」
監督の言葉通り、ベルギーは慌てて攻めるが攻撃は単調さを増して行く。
俺と務さんは幅広く動き回り、ボールを回収する作業に徹する。
「ナイスカットだ丈留、あとは任せろ。」
そして千両役者のこの男。
この日前めのポジションで起用され、守備を軽減された樫原が猛威を振るうには時間はかからなかった。
キレあるドリブルでディフェンスを切り裂き、三木原さんもいぶし銀のプレーでチャンスメイク。
「滝口! 寄越せ!」
さらにこのシステムの肝であるウイングバックの南川さんは上下のアップダウンを繰り返し、攻撃時には一気に相手陣内へと駆け上がる。
南川さんのクロスのクリアボールを俺はダイレクトで叩いた。
2-0。
スコアボードにともった数字。
試合をコントロールした俺達はこの後もベルギーをいなし続け、グループ二連勝で勝ち抜けを決めた。
試合後のスタンドでは海外クラブのスカウト達が談笑する。
「カタギハラ、ミナガワはやはり素晴らしい、カタギハラはレンタルバックして試合にも絡めそうだ。」
「サキザキ、あれもスカウト対象ですね。」
「そして何より。」
「ああ。」
「ヤツは今大会後に海を渡ることになるだろう、問題はどこのチームを選択するか。」
「それにしても日本は厳しいな、一位通過ならアルゼンチン、2位通過ならイタリアだ。」
宿舎で俺達はミーティングを行う。
「三戦目はターンーオーバーを採用する、だが一位通過を狙って勝ちに行くぞ!」
1戦目2戦目を先発した選手は先発から外れた。
3戦目の相手はザンビア。
既に敗退が決定してるチームだが、プロ選手も少なく勝利給を目標に死にものぐるいで向かってくるだろう。
いやー、バルサ凄かった。
アンチバルサですが恐れ入りました。




