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高校編 「快進撃の始まり」

登場人物 紹介

懸上 丈瑠・・・主人公。ポジションはセンターハーフ。豊富な運動量とミスの少ない正確性が特徴。

両親を亡くし選手権に出ることを誓う。

直木 美由・・・丈瑠、裕樹の幼なじみ。サッカー部のマネージャーを務める。丈瑠と光希を気にかけ、支えになっている。

棗 裕樹・・・丈瑠と美由の幼なじみ。ポジションはセカンドトップ。前線からのチェイシングとクイックネスを活かしたドリブルが特徴。1度は引退したが丈瑠の誓いを受け条件付きで復帰。

懸上 光希・・・丈瑠の妹。中学三年生。バスケットボールをしていた。美由に懐いている。

 親父の葬儀を終えた一週間後に、俺は練習復帰した。

 みんなに選手権を目指したいことを伝えた、ただ真っ直ぐに自分の想いを伝えた。

 皆の反応は冷やかなものかと覚悟していた。

 けれど俺が聞いた言葉は「いい加減低い目標はやめよう」「やるからには本気になろう」とポジティブなものばかりだった。

 思わぬ協力も得ることが出た。

「週3しか参加出来ないけど俺も手を貸すよ。親父さんには俺も世話になったから。」

「裕樹、いいのか受験は?」

「気にすんなよ水くせぇぞ!大丈夫だ、ちゃんと両立させる。」

 引退した裕樹たちも出来る範囲で復帰してくれた。

 受験組も学習塾と並行する形で時間の制限をかけ、限られた時間の中で精一杯を尽くしてくれた。


 こうして俺たちの選手権予選が開幕した。

 1回戦は弱小校との対戦。

 初戦で動きが固かったが、後半に先制してそのまま突き放し順当に勝利を得る。

 2回戦も格下との対戦だったが裕樹達一部の三年は模試と日程が重なり最初の正念場を迎えた。

 しかし、普段サブのメンバーが2年生が毎日の居残り練習成果を見せ、直接FKを叩き込み薄氷の勝利。

 さらにチームは一丸になり、勢いを作った。


 そして、3回戦。ベスト8を懸けた1戦。

 俺たち(やま)(ふもと)高校はインターハイ予選ベスト4の強豪校と対戦することになった。

 相手の特徴は身体能力を前面に押し出して来るサッカー。

 俺たちが取った戦術は局面局面で数的優位を作ること。

 一対一で劣る相手に人数をかけてボールを奪い、素早くゴールを目指した。

 人数をかけるということはスペースを大きく作ってしまう恐れがあるが、俺が中盤で細かくポジションを修正して、バランスを取りながら舵を取った。

 相手は点を取れず焦り始め、後半前がかりになる。

 ボールホルダーが一瞬強引に突破を図った際、三人でボールを奪い、一気にカウンターを仕掛け、ドリブルて運んだ裕樹がゴール前に持ち運びラストパス。

 走り込んだ俺がゴールに流し込み1ー0。

 その後も粘り強い守備を続けて見事に完封勝利を収める。

 強豪を下した俺たちは学校の歴代成績で過去最高のベスト8の成績に並び、その躍進ぶりが県内でも話題をさらった。


 勝利を挙げた夜、マネージャーの美由が俺たちを労ってくれた。

「2人ともお疲れ様!ほんとにかっこよかった!」

「ありがとう、でも今日のゴールはほとんど裕樹のゴールだよ。」

「褒めても何も出ねぇよ、それに丈瑠いなかったらもたなかったよ。」

くしゃくしゃの笑顔で俺の背中を叩く裕樹だが、間違いなくこの日は殊勲の出来だった。

「2人とも凄かったでいいのよ。丈瑠、今日ご飯作りに行くよ。光希ちゃんにも会いたいし。」

 両手を後ろに組んだ美由が少し恥ずかしげに語りかける。

 父さんが亡くなってから、美由は時々家に家事の手伝いに来てくれる。

「いつも悪いな。裕樹もうち来いよ。」

「俺は帰って勉強しねぇと。丈瑠、美由。次も勝つぞ!」

 裕樹は「よっしゃー!」と叫びながら自転車を走らせていった。


 休業中の張り紙がある表口の脇道を通り抜け、裏口から家に入ると、同じく帰宅したばかりという、光希が扉の先にいた。

 ギリギリ後ろで括れるくらいの髪を揺らす、最近身長が伸びてクラス女子では3番目に大きいらしい。

「おかえり、兄ちゃん。」

 

「あ、美由ちゃん! ご飯作りに来てくれたの!」

「うん、今日は光希ちゃんの好きなハンバーグ作ってあげる!」

「わぁ!ありがとう!兄ちゃんは汚いし臭いからお風呂はいってきてよ、美由ちゃんは一緒に作ろ!」

「おい、酷い仕打ちだな。」

 中学3年の光希に炊事洗濯といつも任せっきりだ。

 光希もまた、進路を決めなければ行けない大事な時期なのに申し訳ない。

 美由とは昔から姉妹のように仲良く、光希が精神的に不安定にならないのも美由のおかげなので、彼女にも本当に頭が上がらない。

「ありがとうな、ほんとに送って行かなくていいのか?」

「大丈夫!お母さんそこまで迎えに来てくれるから。それより、明日頑張ってね。」

「ああ、明日は負けられない相手だからな。」

 俺は様々な支えを実感しながら就寝についた。


 準々決勝、会場は人工芝の競技場に変わり、それまでは対戦校同士の応援しかいなかった観戦者も大幅に増え、有力大学のコーチングスタッフ、Jリーグのスカウトも足を運び始める。

 俺たちの対戦校は東岸(とうがん)高校。県内屈指の強豪でインターハイ予選は準優勝を果たしている。

「丈瑠、久々だな。」

 この日は久々のライバルとの再会だった。



スポーツは文章で表現がむずかしいですね、

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