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プロ編「奇襲」

 快晴の青空。

 夏か過ぎ、少し涼しくなってきたので試合時間もナイターゲームから夕方16時頃になる会場も増える。

 ここヴィルモッツアレーナではそれぞれ残留と優勝を決めたいヴィルモッツとバルカンズが相見える。

 試合は意外な展開で幕を開ける。


 試合開始3分俺たちはいきなり仕掛ける。

「タケル、コッチネ!」

 助っ人外国人のジョナサンと俺はシーズン開幕時こそ俺と息が合わなかったが、今となっては抜群のコンビネーションになっていた。

「ナイスボールだ!」

「お前達のことは当然織り込み済みだ。」

 ジョナサンとのワンツーで抜け出そうとした俺に実村さんが潰しにかかる。

「修さん頼みます!」

「おうよ!」

 俺は激しいショルダータックルを受けたが、倒れ込みながらワンツーのリターンを再びダイレクトではたく。

 サイドに流れ、フリーになっていた修さんにボールが渡る。

「ナイスボールやで! 修さん! ごっつぉーさん、なんてね?」

「マイド!オオキニ!」

中に上げたボールを光宗がヘディングで狙うと見せかけボールを落としジョナサンが流し込む。


 ゴールを確信したヴィルモッツ陣営だが再びこの男が立ちはだかる。

「だからさせないって言ったろ。」

 このボールにも実村さんがブロックに入る。

「あなたならブロックに入ると思いましたよ!」

 このビッグプレーも実村さんなら反応する。

 ある意味予想通りだった。

 弾かれたボールに反応した俺は滑り込みながらゴール左隅に蹴り込む。


 なんとヴィルモッツが先制。

 シーズン通して先制されたことのないバルカンズからゴールを奪う。

 スタジアムのボルテージは最高潮。

 今シーズン一番の盛り上がりを見せる。

「やられたか。

 やっぱりお前は楽しませてくれそうだな!」

 無邪気な顔を見せる実村さんを初めて見た。今や国内ナンバーワンプレイヤーと評される彼も痺れる展開のようだ。

「まだまだこんなもんで勝てるなんて思ってませんよ?」

「そう来なくっちゃな。」


 試合が再開。

 先制されたものの慌てないバルカンズ、何事も無かったのように試合を進める。

 実村さんが徐々にボールに触る回数を増やす。

「くそっ、動きが掴めない。」

「ナンダヨ、コイツ」

 俺とジョナサン二人がかりでもなかなかボールが奪えない。

「セオリーの守備じゃ俺からボールは奪えないぜ?」

 実村さんの最大の特徴は両足で遜色なくボールが扱える点だ。

 従って右利き、左利きに合わせたサイドカットが出来ないので奪いどころが絞れない。


 勝っているのに負けているような感覚に陥ったヴィルモッツ、畳み掛けるようにバルカンズが襲いかかる。

 バイタルに侵入した実村さんがノーステップで狙う。

「よしっ! 同点!」

 ゴールに吸い込まれたかに思えたシュートだった。

「克也さん!!」

 ガッチリとシュートをつかんだのは飯原(いいはら) 克也(かつや)さん。

 ヴィルモッツの守護神だ。

「任せとけ、今日は一点もやらん。」

 克也さんは今シーズンで引退を決めているベテランキーパー、正GKが怪我で離脱し初先発。


 前半波のように打ち寄せてくるシュートを克也さんの獅子奮迅の活躍で何とかしのいだ。

 ロッカールーム、佐武監督が気を引き締め直す。

「後半このままでは行かないぞ、攻めるか守るか、お前らどっちがしたい?」

 堅い雰囲気を吹き飛ばすように関西弁のストライカーが口を開く。

「攻めるしかないで! 兄さん達安心してくださいや! 俺が点とったる!」

「調子に乗るなアホ、お前らこんなガキに言われて黙ってねぇよな?

 もちろんガンガン行くよな!?」

 今日は光宗と2トップを組む修さんが光宗の頭を叩きながら声を張り上げる。

 そして円陣を組み勇士さんが発する。

「残留きめんぞ、後半行くぞ!!」


 俺たちがピッチに立つ頃にはすでに、バルカンズイレブンはボールをセットしていた。

「早くやろうぜ、後半。」

 実村さんを始めとするその軍団はどこか禍々しさすら感じるオーラを放っている。


 後半が始まり、試合はさらに激動の展開へと繋がっていく。

そろそろ新たな構想へと入っていきます。

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