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プロ編「一騎打ち」

 開幕から5連敗を喫したヴィルモッツ、ここヴィルモッツアレーナには「おいおい頼むぞ」と言わんばかりに祈るような眼差しがピッチに向けられる。

 ようやく手にした久しぶりのトップリーグ、簡単に降格する事は絶対に避けたい。

 それだけにこの一戦は重要だ。

 試合開始からババコグとのマッチアップとなった俺は落ち着いた対応でチャンスを作らせない。

 俺が意識したのは前日佐武監督の二つのアドバイスだ。



「丈留、サイドの外国人の特徴わかるか?」

「ドリブルで仕掛けてくることですか。」

「それもそうだが、これを見てくれ。」

 スカウティングルームのスクリーンに映されたババコグのプレー。

「ドリブルでつっかけてくる前に一呼吸ありますね、自分の間合いが。」

「そうだ。

 スピードに乗せるな、奴の時間を作るな。

 乗せると厄介だが淡白な選手でもある。」

 確かにドリブルの間合いがあった、トップスピードに入る前のタイミングに一瞬のスキを感じた。



 試合が後半に入っても俺はババコグに気持ちよくプレーをさせない。

 ババコグにボールが渡るタイミング狙ってボールをつつく、又は身体を入れる。

 完全にババコグのプレーダイナミズムを奪うことに成功する。

「F××C!!」

 さらに守備をサボり出したババコグを尻目に俺はオーバーラップの回数と強度を高める。

 そして攻撃でもアドバイスを受けていた俺はそれを実践する。

 敵陣までオーバーラップした俺にスルーパスが渡る、そのボールをダイレクトでアーリー気味にクロスを送る。

 難しい対応となったガジェットディフェンスはクリアミス。

 ボールはペナルティエリア内に留まる。

「待ってたで!! 1部初ゴール!」

 こぼれ球に反応していた光宗が押し込み、ヴィルモッツ先制。

 沸き立つスタンド、ベンチでは俺に向かって監督が右手を突き上げる。

 受けていたもう一つのアドバイスは、クロスの時に仲間が準備しているかより、相手ディフェンスが準備できていないタイミングを狙えということだった。


 その後、ガジェットが残り少ない時間で攻め込む。

 アディショナルタイム3分、ババコグにボールが渡る。

「やらせないぜ!」

 俺がババコグに寄せようとした時、ババコグはワンタッチで浮き球のボールを送る。

「まずい! 

 ボールを受けたガジェットのFWはキーパーと一対一を迎えてループシュート、ボールは無人のゴールへと向かう。


「言ったろ、尻は俺達が拭くって!」

 いち早く反応したのはニラさん、ゴールラインギリギリでボールを掻き出す。

 ボールは再びババコグの元へ。

「F××C!JAP!!」

「させるか!」

 ダイレクトで放たれたボール、今度は勇士さんが身を呈してブロック。

「これで終わりだ!」

 俺はこぼれ球を大きくクリアする。


 試合終了のホイッスル。

 ヴィルモッツにとって今シーズン初勝利、久しぶりの一部での勝ち星だ。

 殊勲のゴールを上げた光宗はヒーローインタビューを受ける。

 美人リポーター相手に後頭部を撫でながら対応する光宗。

「おめでとうございます! ゴールの感想はいかかですか?」

「最高です!!」

「今シーズン初勝利、長かったですね?」

「いや、ホンマにサポーターの皆さんには申し訳なかったんで勝てて良かったです!

 今日はみんなで勝ち取った勝利です!」

 ヴィルモッツサポーターは光宗コールを送った。


 俺はニラさんと遠くで笑いながらそれを見ていた。

「光宗のやつ、浮かれてるな。

 あのリポーター美人だし。」

「ハハハ、それより! ニラさん助かりました!」

「いや、正直俺もあそこであの外人がダイレクトで出してくるとは思わなかったし、反応が遅れたよ。

 それにしても良くやったな、丈瑠!」

 俺たちはガッチリと握手を交わした。


 

 シーズンも終盤戦に入り、俺達ヴィルモッツは10位、だがリーグは混戦模様で未だ残留は確定していない。

 俺はサイドバックの選手が復帰して以降は再びボランチでレギュラーを奪取した。

 そんな中第33節勝てばリーグ残留が決まる1戦。

 対戦相手は前半戦で大敗したバルカンズだ。

 バルカンズは首位を独走、リーグ戦でなんと負けがない。

 今節の結果次第では三節を残し、優勝が決まる。


「久しぶり、前回みたいに簡単には行かないみたいだな。」

 バルカンズの皇帝が見せる不気味な笑顔には威圧感が放たれている。

「実村さん、あなた達に最初に土をつけるのは俺たちです!」


 真価を問われる一戦が幕を開ける。


更新が遅れて申し訳ございません!

ひとまず学校の課題が落ち着いたので更新ペースを少しずつ上げていきます!!

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