*#3*聖地奪うもの現る!③*
そう言えば、今日は保健室の先生の彼氏が来る日。
そろそろここを出なければ。
と、思うが、私の目の前にいる彼が行く手を阻む。
「いや、隠れてればよくない? 保健室なんて寒いじゃん。」
いや、確かに寒いが・・・もし彼氏と先生が「あーんなこと」や「こーんなこと」を
始めちゃったら私はきっと蒸発して消えてしまう。
「うーん・・・それはちょっと無理かなぁ」
「何で。」
クエスチョンマークも付けずに棒読みで言ってくる彼は
表情もまるでない。
というか、あの例のスマイル(1話後半詳細)から彼の笑顔は
見ていない。いつも無表情に近い顔でいる。
まだ出会って間もないが。
「いや、ほらね、保健室のほうが落ち着くし・・・大体隠れる場所なんて
ないし。」
「じゃぁ一緒に病院行かね?」
「は?」
思わず強気で言い返してしまったが、何となく本音だ。
「保健室より病院の方があったかいよ?」
そういって私の顔を覗き込むように見る彼の顔は
いつもより幼い。
「んー・・・遠慮しとく。保健室の方が慣れてるし。」
「じゃぁ俺も保健室に行くよ。」
またまた「は?」と言葉が出てしまいそうだったが
抑えて抑えて・・・と。
「いや、迷惑でしょ。それに病院に帰りなよ。」
「大丈夫。いいから一緒に行こう。」
彼の目は真剣だった。まるで私を心配しているかのようだ。
そして彼は私の腕をつかみ優しく引っ張った。
私はされるがままに彼についていった。