*#2*聖地奪うもの現る!②*
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翌日。私は昨日の彼の笑顔が忘れられず、なかなか眠る事が出来なかった。
「空ちゃん。お友達が来ましたよ。」
申し遅れました。私の名前は寺田空です。
アダ名は「くう」。
メイドさんから告げられた「お友達が来てる」という点に疑問がわく。
ちなみに今日は土曜日。
みんな暇を持て余してるだろうが、私の家にわざわざ訪問してくるような
友達は一人もいない。
いると言えば、メールを1カ月に1度交わすか交わさないかという
幽霊友ならたくさんいる。
「誰ぇー?」
「良く分からないので、出た方が早いと思いますよ。」
メイドさんに連れて行かれるように私は玄関へ向かう。
思えば、幽霊友の中に私の家を知っている人はいるのだろうか?
教えた覚えもないし、家に友達を入れた記憶などない。
そう思いながらもドアノブに手をかけ、引く。
「はい?」
「あ、俺。昨日の。」
私はすぐさまドアを閉めた。
まず、見た目からして怪我をしたあいつだ。
どうして彼がいるのか。
なぜ私の家を知っているのか。
というか、何で来た?
もう一度ドアを開ける。
「……。」
顔をじっくり見た後、ドアをもう一度閉めようとするが、
彼が手で押さえる。
「あの、覚えてないですか?」
「……。」
やっぱり「昨日の」っていう時点であいつしかいない。
というか、あの人意外に誰がいる?
「誰に聞いたの?ここ……。」
「保健室の先生。」
あんにゃろーーーー!!!!
人の個人情報をペラペラと喋りおって!!
後でしばいたるで!この野郎ーー!
「入院したんじゃないの?」
「抜け出してきた。」
こいつはバカだ。
私を巻き添えにする気か?
大体なぜにそこまでして私に会いたいのだ?
「そこまでして何の用?」
ちょっと冷たい視線を送る。
「昨日さ、助けようとしてくれたのに……。」
「いいよ別に。こうして助かったわけだし。」
この発言で沈黙が続く。
まさかこいつこれだけを言いに病院を抜け出したのか?
本当にバカだ。
バカ以外の何物でもないな。
「それだけなの?」
「うん。」
思わずため息が出そうになる。
「空ちゃん。あがってもらったら?せっかく来て下さったんだし……。」
またこのメイドもいらぬ事を。
でも確かにそこまでして言いにきてくれたんだしね。
「うん。じゃぁ、あがって」
「いいのか?」
「うん。どうぞどうぞ」
そう言って私は自分の部屋へ手招きする。
こうして友達(?)を部屋へ招くのはやはり初めてだ。
というか、部屋に入れて何を話そうというのだ?
どう考えても沈黙→一言→沈黙→沈黙……という具合に、
はたからみたらお見合いのような空気になるであろう。
「あのさ」
話を切り出したのは彼だった。
「聞いていいのか分かんないけどさ。お前の両親って……」
そこまで言って私を見る。
やはりあの保健室の先生とかいう奴がベラベラ喋ったのであろう。
「うん。いないよ。事故で死んだ。」
案外スラッと喋れたことにビックリだ。
そう。私の両親はあの日。あの瞬間。
急にいなくなってしまったのだ。
私の目の前から。
--2000年。空が6歳の誕生日。
「空。パパがどこでも連れてってやるぞ?」
そう言うパパに私は目をキラキラと輝かせた。
「じゃぁ、お星様みたいなぁ……」
その頃、丁度あるテレビ番組で「お星様物語」というアニメをやっていた。
私はそのアニメにどっぷりハマってしまい、
朝7時から始まるというのに、毎朝その時間に起きて
そのアニメに見入っていたのだ。
「よし。じゃぁパパがお星様の見える丘に連れて行ってやる!」
そう言ったパパの目もキラキラと輝いていた。
その翌日。
私とパパとママとで星の見える丘に行く事になった。
パパが車を運転し、助手席にはママとその膝に座る私。
パパはいつでも安全運転で、よくニュースで「交通事故」が取り上げられると
「バカみたいだな」と笑って言っていた。
だから私は安心だった。
絶対に大丈夫だって思ってた。
そして、丘へ行く途中パパが呟いた。
「ここ道が細いな……」
パパが不安そうな顔で呟いたため、私は
「大丈夫だよ!パパだもん!」
と言った。パパは優しく笑ったため、ホッとした。
その直後だった。
事故があったのは。
「ここを曲がれば丘だよ」
そういうパパは私の方を向いた。
笑顔だったパパに、私も笑顔で返した。
「やっぱりパパは凄いね!」
その一言から私の記憶はない。
だれかにむしり取られたかのようにブツッと消えてしまった。
「そして、もうひとつ消えたのが私の両親。
ここは、私の家じゃないの。借りてるの。保健の先生に。」
この話を聞いて彼はどこか寂しげな顔をして私を見ていた。
「でもね、保健の先生には彼氏がいるから、ずっとここに居られるって
訳じゃないんだ。私がいたらあやしいでしょ?」
彼は確かに。というかのように頷いた。
「じゃぁ、その間はどこに居るんだよ?」
それは誰もが気になる点。
でも、それは第1話をみている皆には解決済みの問題である。
「保健室。」
それを聞いた彼は最初はきょとんとしていたが、
だんだん柔らかい表情になり最後には笑った。
「なんかおもしれーな」
私は驚いた。
今までこの反応をした人はだれ一人いなかった。
みんな「聞いてごめん」とか……
いつも聞いてて謝ってほしい何て誰も言ってないのに。
ってずっと思ってた。
確かに謝ってくれるのは嬉しい。
だけど、何だか彼の反応の方がスッキリする気がした。