第96話「緊急搬送システム」
ゴゴゴゴゴ……。
中継区画の奥で、巨大な搬送設備が動き始める。
床のレールが次々とせり上がり、壁の奥から大型の搬送台が姿を現した。
ミリアが端末を確認する。
「自動搬送システムが起動してる」
ジェイクが周囲を見る。
「何を運ぶんだ?」
「それが分からない」
ルーカスが床を見る。
「レールが……さっきの搬送路と繋がってる」
ミリアが施設図を開く。
「この設備は、通常の搬送路とは別系統みたい」
「どこへ行く?」
ミリアが画面を拡大する。
「……地下深部」
ジェイクが眉をひそめる。
「第2施設じゃないのか?」
「違う。第2施設へ向かうルートより、さらに下」
ルーカスが奥を見る。
「じゃあ、何のためにある?」
ミリアが答えを探している間に、搬送台が動き始めた。
ゴォン……。
そして床に置かれていたデータ装置が、搬送台へ吸い込まれていく。
「待って!」
ミリアが走る。
だが、搬送台の周囲から防護シャッターが降りてきた。
ガシャン!
「閉じ込められた!」
ジェイクが武器を振る。
ガキィン!
シャッターに傷が入る。
「硬い!」
ルーカスも拳を叩き込む。
ドンッ!
しかしシャッターはびくともしない。
搬送台が動き始める。
「このままだとデータ装置を持っていかれる!」
ミリアが周囲を見回す。
「制御装置……」
「どこだ?」
「搬送台の側面!」
ジェイクが走る。
シャッターの隙間から腕を伸ばし、制御装置へ武器を突き刺す。
ガキッ!
「届かない!」
ルーカスがシャッターを掴む。
「離れろ!」
ジェイクが下がる。
ルーカスが両手でシャッターを掴み、力を込める。
「うおおおっ!」
ギギギギ……。
シャッターが少しずつ歪む。
「今!」
ジェイクが隙間へ飛び込む。
制御装置へ武器を叩き込む。
ガンッ!
火花が散る。
「まだ!」
もう一撃。
ガンッ!
制御装置の表示が消える。
搬送台が減速する。
「止まった!」
しかし完全には止まらない。
ゴゴゴ……。
ゆっくりと地下へ進んでいく。
ミリアが叫ぶ。
「制御装置を壊しただけじゃ駄目!」
「じゃあどうする!」
「搬送台の動力を切らないと!」
ルーカスが周囲を見る。
「動力はどこだ?」
「下!」
「下?」
「搬送台の底部に予備動力がある!」
ルーカスが搬送台の側面へ飛び移る。
「ルーカス!」
足場は狭い。
搬送台は地下へ進み続けている。
ゴゴゴゴ……。
ルーカスが身を伏せる。
底部を見る。
そこには小型の動力装置があった。
「見つけた!」
ルーカスが拳を振り上げる。
その瞬間。
カチッ。
動力装置の横から小型アームが飛び出した。
「うわっ!」
ルーカスが避ける。
アームが何度も襲いかかる。
「邪魔だ!」
拳で弾く。
ガンッ!
アームが戻る。
また伸びてくる。
「しつこい!」
ルーカスが拳を叩き込む。
ドンッ!
アームが折れた。
「今度こそ!」
拳を動力装置へ叩き込む。
バキッ!
装置に亀裂が走る。
搬送台が大きく揺れた。
「止まった!」
ジェイクが叫ぶ。
しかしミリアは端末を見ていた。
「……違う」
「何?」
「動力は止まった。でも、搬送台が惰性で進んでる」
「どこまで?」
ミリアが画面を見る。
「この先……」
その表情が変わった。
「終端がない」
ジェイクが固まる。
「は?」
「地下搬送路が、まだ続いてる」
三人の前方。
暗闇の中に、長いレールが伸びている。
そしてその先に、巨大な空間が広がっていた。
ルーカスが周囲を見る。
「ここは……?」
ミリアが端末を確認する。
「施設図に載ってない」
「じゃあ、何なんだ?」
答えは返ってこない。
その時。
搬送台の奥から、金属音が響いた。
カン……。
カン……。
何かがレールの先から近づいてくる。
ジェイクが武器を構える。
「今度は何だ……」
暗闇の奥。
赤い光が一つ点灯した。
そして――
二つ。
三つ。
大量の赤い光が、ゆっくりと浮かび上がった。
第96話 完




