第90話「搬送計画変更」
格納庫の壁が、ゆっくりと開いていく。
ゴゴゴゴ……。
その先には、巨大な搬送設備が広がっていた。
床には何本ものレール。
天井には大型クレーン。
そして中央には、巨大な搬送台が設置されている。
ジェイクが目を細める。
「……地下第四区画そのものを運ぶって、どういう意味だ?」
ミリアは端末を操作する。
「正確には、この区画にある設備と機体を別の場所へ移す計画みたい」
「そんなことできるのか?」
「この施設が建設された時点で、そのための設備が作られてる」
ルーカスが三体のロボットを見る。
「だから、あいつらがここまで来たのか」
三体は大型搬送台の前へ移動していた。
一体が制御盤へ接続する。
カチッ。
搬送台が起動する。
ゴウン……。
「動いた!」
ジェイクが武器を構える。
「でも、何を載せるんだ?」
ミリアが画面を確認する。
「搬送対象が指定されてる」
「何?」
「……大型機体保管層のデータ装置」
ルーカスが周囲を見る。
「機体じゃないのか?」
「うん。機体そのものじゃなくて、機体に関するデータを移すみたい」
ミリアは画面を拡大する。
「大型機体の設計情報、動力情報、武装情報……全部」
ジェイクが驚く。
「それを第2施設へ送る?」
「たぶん」
その時、三体のロボットが搬送台の中央へ移動した。
「何してる?」
三体の身体からケーブルが伸びる。
搬送台の接続端子へ繋がった。
カチッ。
カチッ。
カチッ。
搬送台の中央に光が集まる。
ミリアの端末に表示が出た。
『機体データ転送開始』
「始まった!」
「止められるか?」
「まだ分からない!」
ミリアが制御盤へ走る。
ルーカスとジェイクも続く。
だが、格納庫の奥から機械音が響いた。
ガシャッ。
「またか!」
ジェイクが振り返る。
倒した大型機体とは別に、格納庫の壁際にあった小型警備機体が動き始めていた。
一体。
二体。
三体。
「まだ残ってたのか!」
ジェイクが武器を構える。
「俺が止める!」
ジェイクが前へ出る。
小型警備機体が一斉に襲いかかる。
ガンッ!
ジェイクが一体の刃を受け止める。
「くっ!」
別の一体が横から迫る。
ルーカスが拳を叩き込んだ。
ドンッ!
「ジェイク、右!」
「分かってる!」
ジェイクが振り向きざまに武器を振る。
ガキィン!
一体の腕を弾く。
さらに踏み込む。
ガンッ!
脚部を破壊する。
ロボットが倒れた。
「一体!」
残り二体が同時に接近する。
ルーカスが前へ出る。
「まとめて来い!」
二体の攻撃を左右へかわし、片方の胸部へ拳を叩き込む。
ドンッ!
そのままもう一体の脚を蹴り飛ばす。
「ジェイク!」
「任せろ!」
ジェイクが倒れた機体へ武器を振り下ろす。
ガシャァン!
完全に停止する。
ルーカスも残った一体へ拳を叩き込んだ。
ドンッ!
三体目も倒れる。
「これで最後か?」
ジェイクが周囲を見る。
ミリアが叫んだ。
「まだ!」
「何?」
「搬送設備が動き始めた!」
床のレールが高速で動き始める。
ゴゴゴゴ……!
巨大な搬送台が奥へ進んでいく。
三体のロボットも一緒に移動している。
「追うぞ!」
ルーカスたちが走る。
しかし、搬送台の速度が上がっていく。
「速い!」
ジェイクが走る。
ルーカスも追う。
搬送台は巨大な扉へ向かっていた。
扉には、
『地下搬送路・第2系統』
と表示されている。
ミリアが端末を確認する。
「この先……第2施設へ繋がってる!」
ルーカスが走る速度を上げる。
「じゃあ、あいつらも第2施設へ?」
「そう!」
搬送台が扉を通過する。
三体のロボットが振り返った。
一瞬だけ、赤いセンサーが三人を捉える。
そして搬送台は暗い地下搬送路へ消えていった。
ゴゴゴゴ……。
扉が閉まり始める。
「待て!」
ルーカスが扉へ走る。
ジェイクも続く。
ミリアが操作盤へ手を伸ばす。
「開ける!」
しかし、
『搬送路封鎖』
という表示が出る。
「ダメ……!」
「どうする?」
ルーカスが扉を見る。
ミリアは端末を操作し続ける。
「この搬送路には別の入口があるはず」
「探せるか?」
「やってみる!」
数秒後。
ミリアの画面に施設図が表示された。
「見つけた!」
「どこだ?」
「地下搬送路の途中に、整備用の側道がある」
ジェイクが笑う。
「なら、そこから追えるな」
ルーカスが頷く。
「行こう」
三人は搬送台が消えた方向へ走り出した。
その頃。
地下搬送路の奥。
三体のロボットを乗せた搬送台が、暗闇の中を進んでいた。
そして搬送台の前方に、一つの巨大な表示が浮かび上がる。
『第2施設・接続区画』
搬送台が、その扉へ向かって進んでいく。
第90話 完




