第84話「地下搬送基地」
冷たい風が、長い通路の奥から吹いていた。
ルーカスたちは、三体のロボットを追って進む。
足元には太いレールが二本。
そのレールは、地下搬送基地へ向かって真っ直ぐ伸びていた。
「このレール……さっきの機体搬送路より大きいな」
ジェイクが足元を見る。
ミリアが端末を確認する。
「大型機体用だと思う。さっきの格納庫にあった機体を運ぶためのもの」
「ってことは、ここから第2施設まで?」
「違う」
ミリアが首を振った。
「第2施設へ向かうルートは別にある」
「じゃあ、ここは何のためだ?」
「地上への搬出と、別の地下区画への移動」
三体のロボットが前方で停止した。
「また止まったぞ」
ジェイクが武器を構える。
しかし、三体は攻撃態勢を取らない。
中央のロボットが壁の操作盤へ近づいた。
カチッ。
操作盤が起動する。
古いモニターに文字が浮かんだ。
『地下搬送基地』
続いて、
『搬送設備:停止中』
と表示される。
ミリアが画面を確認する。
「搬送設備が止まってる」
「なら、あいつらは何しに来た?」
ルーカスが三体を見る。
一体が操作盤へ接続した。
ウィーン……。
地下の奥から、低い振動が伝わってくる。
ゴゴゴゴ……。
「何か動いてる」
ジェイクが身構える。
次の瞬間。
床のレールが動き始めた。
ガコン。
ガコン。
レールの上を、巨大な搬送台がゆっくりと現れる。
「でかっ……」
ジェイクが思わず声を漏らす。
搬送台には、大型機体を一体そのまま載せられるほどのスペースがあった。
しかし、そこには何も載っていない。
ミリアが搬送台を調べる。
「自動搬送装置みたい」
「空なのに動かしたのか?」
「違う」
ミリアが画面を拡大する。
「この三体が搬送先を指定してる」
「どこへ?」
「……地下第四区画」
ルーカスが眉をひそめた。
「ここ、まだ下があるのか」
「そうみたい」
その時。
ゴンッ!
搬送台が突然停止した。
三体のロボットが一斉に振り向く。
「何だ?」
暗闇の奥から、機械音が響いた。
ガシャ……。
ガシャ……。
複数の足音。
ミリアが端末を確認する。
「機体反応、六体!」
「来るぞ!」
ルーカスが前へ出る。
暗闇からロボットが姿を現した。
六体とも同じ型。
四脚で、前面に大型装甲。
両側には短い砲身が取り付けられている。
「今までの奴とは違うな」
ジェイクが武器を構える。
先頭の一体が砲身をこちらへ向けた。
「散開!」
バシュッ!
砲弾が飛ぶ。
三人が左右へ飛び退く。
ドン!
床が吹き飛んだ。
「こいつら、近づく前に撃ってくる!」
ジェイクが走る。
一体の側面へ回り込む。
「こっちだ!」
ロボットがジェイクを追って砲身を動かす。
その瞬間、ルーカスが正面から突っ込んだ。
「させるか!」
ブレイカーが装甲へ叩き込まれる。
ドンッ!
一体が大きく揺れる。
だが倒れない。
「硬い!」
ジェイクが背後から関節へ攻撃する。
ガンッ!
脚部が破損する。
「ルーカス、今!」
ルーカスがもう一度拳を叩き込む。
ドン!
ロボットが倒れた。
残り五体が一斉に砲撃する。
「ミリア!」
「任せて!」
ミリアが電磁装置を起動する。
ジジジジッ!
一体のセンサーが乱れる。
さらにもう一体の動きが鈍る。
「二体、止めた!」
ジェイクが駆ける。
「じゃあ、俺が一体!」
武器を振り抜き、脚部を破壊する。
ガキィン!
ロボットがバランスを崩した。
ルーカスが飛び込む。
「ブレイカー!」
ドンッ!
胸部が砕ける。
一体撃破。
しかし、別のロボットがルーカスの背後へ回る。
「ルーカス!」
ジェイクが武器を投げる。
武器がロボットの砲身へ直撃した。
ガンッ!
砲身が曲がる。
「今だ!」
ルーカスが振り返る。
拳を叩き込む。
ドンッ!
二体目も倒れた。
残った三体が距離を取る。
「逃がすな!」
ルーカスが追おうとする。
だがミリアが叫んだ。
「待って!」
「何?」
「こいつら、逃げてるんじゃない!」
三体のロボットが、地下搬送基地の奥へ向かっている。
「何かを守ってる?」
「分からない。でも、奥へ誘導してるみたい」
ジェイクが倒したロボットを見る。
「なら、追いかけるか?」
ルーカスは少し考えた。
「行こう。ただし慎重に」
三人は残った三体を追った。
しばらく進むと、通路の先に巨大な搬送設備が見えてきた。
その中央には、地下へ伸びるエレベーター。
壁には古い表示がある。
『地下第四区画』
ミリアが端末を確認する。
「この下に、さらに大きな機体保管スペースがある」
ジェイクが苦笑する。
「まだあるのかよ」
ルーカスがエレベーターを見る。
「三体はそこへ行くつもりだ」
三体のロボットがエレベーターへ乗り込む。
扉が閉まる。
ゴウン……。
エレベーターが下降していく。
ミリアが表示を確認する。
「地下第四区画へ移動してる」
ルーカスたちも別の操作盤を探す。
ミリアが操作すると、隣のエレベーターが起動した。
「これで追える」
三人が乗り込む。
扉が閉じる。
ゴウン……。
表示が、
地下二階。
地下三階。
そして、
地下四階。
へ変わっていく。
その瞬間。
エレベーターの外から、巨大な振動が伝わってきた。
ドン……。
ドン……。
ジェイクが顔を上げる。
「……今の音、何だ?」
ミリアが端末を見る。
画面に新しい反応が表示された。
『大型機体反応:1』
ルーカスが拳を握った。
「地下四区画に、何かいる」
エレベーターが停止した。
チン。
扉が開く。
暗闇の先で、巨大な赤い光が一つだけ灯った。
第84話 完




