第70話「地下第二層」
ゴゴゴゴゴ……。
巨大な搬送用エレベーターがゆっくりと下降していく。
ルーカス、ジェイク、ミリア。
三人は、先に乗り込んだ三体のロボットを追っていた。
ジェイクが下を見ながら呟く。
「……かなり深いな」
「地下第二層って表示されてた」
ミリアは端末から目を離さない。
「さっき起動した機体も、第一層に残ってる」
ルーカスがブレイカーを握り直す。
「三体だけを追えばいいのか?」
「今はね。でも、この先に何があるか分からない」
その時。
ガコンッ!
エレベーターが大きく揺れた。
「うわっ!」
ミリアが壁に手をつく。
ジェイクが身構える。
「止まったのか?」
「違う」
ミリアが表示を見る。
「減速してる」
やがてエレベーターが停止した。
扉が開く。
その先には、薄暗い巨大な空間が広がっていた。
床には搬送レール。
左右には大型の格納扉。
壁には古い端末が並んでいる。
ルーカスが先に降りる。
「三体は?」
ミリアが端末を確認する。
「……まっすぐ進んでる」
「追うぞ」
三人は通路を走った。
少し進んだところで、ジェイクが足を止める。
「待て」
床に何かが落ちている。
金属製の部品だった。
ミリアが拾い上げる。
「ロボットの装甲?」
「さっきの三体のものか?」
「違う」
ミリアが首を振る。
「もっと古い機体の部品」
ルーカスが周囲を見る。
「ここで何か戦ったのか?」
ミリアは端末を操作する。
「記録が残ってる」
画面に古いログが表示された。
【機体保管区画・地下第二層】
【旧型戦闘機体 保管数:18】
ジェイクが目を見開く。
「十八体……」
「でも現在の稼働数はゼロ」
ミリアが続けて調べる。
「保管記録が途中で切れてる」
「どういうことだ?」
「分からない」
その瞬間。
奥から音がした。
ガシャ……。
三人が振り返る。
「来るぞ」
ジェイクが武器を構える。
暗闇から一体のロボットが現れた。
しかし、今までの機体とは違う。
両腕に大型の装甲。
肩には厚い防護板。
そして胸部には、古い施設のマークが刻まれている。
ミリアが小声で言う。
「旧型戦闘機体……」
ロボットが腕を上げる。
ドンッ!
巨大な拳が壁をえぐった。
「こいつ、強い!」
ジェイクが横へ飛ぶ。
ルーカスが正面から踏み込む。
「ブレイカー!」
拳が胸部へ直撃する。
ガンッ!
しかし、ロボットはほとんど動かない。
「硬い……!」
ロボットが腕を振る。
ルーカスは受けずに後ろへ跳んだ。
ジェイクが横から攻撃する。
ガキンッ!
装甲に傷をつける。
「装甲が厚すぎる!」
ミリアが端末を確認する。
「待って……弱点がある!」
「どこだ!」
「背中!」
ミリアが機体情報を拡大する。
「背中の冷却装置。そこだけ旧型のまま!」
ルーカスが頷く。
「ジェイク!」
「分かってる!」
ジェイクが正面から突っ込む。
ロボットがジェイクへ拳を振り下ろす。
ガンッ!
武器で受ける。
足が床に沈む。
「ぐっ……!」
ジェイクが耐える。
「ルーカス!」
「今行く!」
ルーカスが横から回り込む。
だがロボットが気づき、腕を振る。
ルーカスはしゃがんでかわす。
その隙にミリアが電磁装置を起動した。
ジジジジッ!
ロボットの動きが一瞬止まる。
「今!」
ルーカスが背後へ回る。
ジェイクも力を振り絞ってロボットの腕を押し返す。
「行け!」
ルーカスが拳を握る。
「ブレイカー!」
ドォンッ!
背中の冷却装置が砕けた。
ロボットの動きが止まる。
赤い目が点滅する。
そして、そのまま膝から崩れ落ちた。
ジェイクが息を切らす。
「……倒した」
ミリアが端末を確認する。
「でも、問題はこっち」
「何だ?」
ミリアが地下第二層の地図を表示する。
その奥。
さらに地下へ続く区画が表示されていた。
【機体保管区画・地下第三層】
ルーカスが画面を見る。
「まだ下があるのか」
ミリアが頷く。
「三体のロボットも、そこへ向かってる」
ジェイクが武器を肩に担ぐ。
「じゃあ行こう」
三人は地下第三層へ続く通路へ向かった。
その背後。
倒したはずの旧型戦闘機体の指が、ほんの僅かに動いた。
第70話 完




