第65話「帰還する機体」
山道を進む三人。
ミリアは端末に表示された機体情報を追っていた。
「……まだ動いてる」
ジェイクが振り返る。
「三体とも?」
「うん。東へ移動してる」
ルーカスが前方を見る。
「どれくらい先だ?」
「数キロ。でも、私たちよりかなり速い」
ジェイクが武器を握り直す。
「第2施設へ戻ってるんだよな」
「その可能性が高い」
三人は歩く速度を上げた。
しばらくすると、山道の先に古い道路が現れた。
道路には放置された車が何台も並んでいる。
ルーカスが足を止める。
「ここから先は車で行けそうだな」
ジェイクが車を確認する。
「使えそうなのは……これか」
一台の車のドアを開ける。
「鍵はない」
ミリアが運転席を覗き込む。
「無理に動かさない方がいい。音を出したらロボットに位置を知られる」
ジェイクが納得する。
「確かにな」
三人は再び徒歩で進む。
その時、ミリアの端末が突然反応した。
ピッ、ピッ。
「……止まった」
ルーカスが振り返る。
「三体が?」
「うん」
ミリアが画面を確認する。
「少し先で停止してる」
ジェイクが周囲を見る。
「近いのか?」
「かなり近い」
三人は慎重に進んだ。
山道を曲がった先。
大きな崖が現れる。
その向こうには深い谷が広がっていた。
そして谷の反対側。
三体のロボットが立っていた。
ルーカスが目を細める。
「あそこか」
ミリアが端末を見る。
「違う」
「え?」
「三体は、施設へ入るんじゃない」
ミリアが画面を拡大する。
三体のロボットの前には、岩壁がある。
そこには小さな金属製の扉が埋め込まれていた。
ジェイクが気づく。
「あれ……入口じゃないか?」
三体が扉の前に並ぶ。
一体が胸部から光を放つ。
ピッ。
扉が反応する。
ゴゴゴゴ……。
岩壁の一部が左右へ開いていく。
その奥には、巨大な地下通路が続いていた。
ミリアが息を呑む。
「地下に施設がある」
ルーカスが拳を握る。
「第2施設?」
ミリアは端末を確認した。
「通信信号の発信源……この地下から」
ジェイクが武器を構える。
「つまり、あそこが……」
三人は開いていく入口を見つめる。
三体のロボットが地下へ入っていく。
そして最後の一体が通過した直後。
ゴゴン!
巨大な扉が閉じ始めた。
ルーカスが走り出す。
「急げ!」
ジェイクとミリアも続く。
扉が完全に閉じる前に、三人は地下通路へ滑り込んだ。
背後で、
ゴォン!
扉が閉じた。
暗闇の中。
ミリアの端末だけが淡く光る。
画面には一つの表示。
【通信発信源:第2施設】
ミリアが息を呑んだ。
「……ここだ」
ルーカスが前を見る。
長い地下通路の奥に、赤い光がいくつも浮かんでいた。
第65話 完




