三番コート
焦げたラケットの影
君の空振り
笑われても笑ってる
その姿がなぜか
焼きついて離れない
「またかよ」って誰かが言う
「風のせいだよ」って君は笑う
風なんて吹いてないのに
私の胸だけが
ざわついた
ラリーの途中で君を見ていた
誰にも届かないボールを何度も拾う
その手のひらには擦れた痕がいくつもあった
秋の入り
君はいなくなった
三番コートは静かすぎて
私のサーブだけが空を裂く
誰も私のミスを見ない
でも私は知ってる
君の失敗は
君の努力は
君の笑顔は
誰よりも熱かった
ラリーの途中で君を見ていた私
それだけが今でも不完全な真実




