001
出だしです。まだ構想も無く、見切り発車なので書き直しするかもです。
母が死んだ。
天寿を全うして……。
兄に捨てられた。
俺が、精神疾患持ちも理由にはあると思うが。
母の名義から兄の名義になった家。そこに灯油を撒いた。
火を付けたら、面白いくらい火の手が回った。
夜によく映えた。
消防と警察が来た。
消防は、必死に火を消そうとした。警察は、近隣住民の避難を優先していた。
騒動の間に抜け出して。海にたどり着く。母の遺骨を携えて。
崖からの転落死が狙いだ。
やっと終わる。そう思った。
そのとき、警察が来た。だが、もう遅い。
崖から落ちるため、警察に軽口を言う。
「お巡りさん、どうしたのですか?」
「きみ、危ないよ?こっちに来なさい」
警察の目は、心配と言うより疑心の混じった目だった。
もう、辿られたか。
背中に冷たい汗が流れる。
<確実に死ぬ>これが俺の願望。母の遺骨と共に。
だんだんと近づく警察官たち。その分だけ崖に近づく俺。
「早まった真似は止めなさい。君のお兄さんは、生きている。殺人未遂に放火だが、終身刑や死刑にならないかもしれない」
そんなん知らん。兄への嫌がらせは達成したとして、自分の決めた事は終わらせようと思う。
一人の警察官が近づくのを契機に全力ダッシュした。警察官も走る気配がするが、余裕をもって飛び降りた。
下にある岩にぶつかる。最悪なことにまだ生きている。両足がやられた。上手く泳げない。
今更になって怖くなるが、もう遅い。荒波は、俺を岸からどんどん遠くへと流す。
呼吸が出来ない。
このまま死ぬのか、俺は。
そのまま意識は刈り取られた。
一体どういうことだ。母の遺骨を捨てて流木にしがみついている。
母よりも自分自身の命を優先したのか。
最悪の気分だ。
腹が減った。俺の周りに魚が集まっている。
捕まえて、朝食に出来ないだろうか。
そう思い右手を伸ばすと、指がなかった。
昔読んだマンガで、敵が主人公に負けて海を漂流ものがあり、そのキャラは四肢を魚に食われた。
そんなに日数経ってないと思っていたが、三日ぐらいは経っているのだろうか?喉が渇く。海水を飲んだところ、飲めたもんじゃないと分かった。
その日の夜は、お腹がピーピーだった。
なぜ生きてるんだ?死ぬ覚悟は決めたはずなのに。頭が回る。意識が思考が止まりそうになる。
俺は、何に対して絶望し、憤慨し、恐怖したのだろうか。
記憶が無くなる。思い出せない。
一つの台詞が思い出された。
『死は、救いである』
と。
そこで、俺の意識は暗闇の中に誘われた