第75話『蘇る闇の王! フィーナの“薬草の力”が試される!?』
◆◇ 1. 不吉な影
フィーナたちは《光の神殿》を後にし、再び旅を続けていた。
「……ん?」
カゼハが立ち止まり、鼻をひくつかせる。
「どうしたの?」
フィーナが尋ねると、カゼハは険しい顔で周囲を見渡した。
「……なんか、変な匂いがするぜ。腐った草みてぇな……」
「腐った草?」
フィーナの胸に不安が広がった。
「待て……あれを見ろ!」
ルークが指さした先に、不気味な黒い靄が広がっていた。
「……まさか、闇の力……?」
次の瞬間、黒い靄の中から何かが動き出した。
「う、うわぁっ!」
黒い骸骨のような影が、フィーナたちに向かって襲いかかってきた。
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◆◇ 2. 闇の軍勢
「くそっ、来やがったか!」
ルークが剣を抜き、影に切りかかる。
「《ウィンド・スラッシュ》!!」
カゼハの風の刃が闇の影を吹き飛ばす。
「……これって、もしかして“闇の軍勢”?」
フィーナが青ざめた顔で呟く。
「まさか……」
ルークの声に焦りが滲む。
「やっぱり、蘇ったんだ……」
フィーナの脳裏に、かつてグラキエスが語った伝説が蘇る。
「闇の王が復活した時、この世界は再び闇に包まれる」
「……闇の王が、本当に……?」
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◆◇ 3. 闇の王、出現
「フハハハ……」
闇の軍勢の奥から、禍々しい声が響いた。
黒い靄が渦を巻き、その中心に現れたのは、漆黒のローブを纏った男だった。
「……ベルゲン!? いや、違う……」
ルークが歯を食いしばる。
「我が名は《ダークネス・ロード》……この世界の“絶望”を支配する者……」
不気味な笑みを浮かべるその男の目は、深い闇に染まっていた。
「お前たちが精霊王たちの力を取り戻したところで……無駄なことだ。」
「そんなこと、ない!」
フィーナが叫んだ。
「精霊王たちは、きっとこの世界を守るために力を貸してくれる……! だから、あなたの思い通りにはさせない!」
「……ならば、力を示してみせよ。」
ダークネス・ロードが手をかざすと、地面が黒く染まり、無数の骸骨兵が這い出してきた。
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◆◇ 4. “薬草の力”の発動
「くっ、数が多すぎる!」
ルークが必死に剣を振るい、カゼハも風の刃で応戦していたが、次々に骸骨兵が押し寄せる。
「フィーナ、なんかできねぇのか!?」 カゼハが叫ぶ。
「……私にできること……?」
フィーナは、胸の《フローズン・ティア》を見つめた。
(風の力、氷の力、光の力……みんなの力を繋ぐ……)
「……お願い……力を貸して!」
フィーナが《フローズン・ティア》に呼びかけると、宝珠が淡く輝いた。
「《グリーン・サンクチュアリ》!」
フィーナの足元から青々とした草が広がり、花が一斉に咲き乱れた。
その花々は光を放ち、骸骨兵が触れた瞬間、煙を上げて消えていった。
「な、なんだこれは……!」
ダークネス・ロードが驚きの声を上げる。
「薬草の力は……命の力でもある。闇の力を打ち消す力があるのよ!」
「……バカな……!」
ダークネス・ロードが焦りの声を漏らした。
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◆◇ 5. 勝利と新たな決意
「……やった……」
フィーナが力を使い果たし、膝をついた。
「フィーナ、大丈夫か?」
ルークが駆け寄って、彼女を支えた。
「うん……みんながいたから、勝てたんだね……」
「オレ様もいたことを忘れんなよ!」
カゼハが得意げに胸を張った。
「ありがとう、カゼハ。」
フィーナは微笑んだ。
「だけど、ダークネス・ロードはまだ生きてる。奴を倒さない限り、この戦いは終わらない。」
ルークの言葉に、みんながうなずく。
「……うん、行こう。私たちならきっと、できるから。」
フィーナの手の中で《フローズン・ティア》が優しく輝いた。
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◆◇ 次回『精霊王たちの集結! 闇の王との最終決戦』




