第73話『風の精霊王エアリエルの怒り! “将軍”との死闘』
◆◇ 1. 追跡と焦り
「……足跡がまだ残ってるぜ。」
カゼハが地面の泥を嗅ぎながら言った。
「この先に行ったみたいだな。」
ルークが剣を握りしめ、前を見据える。
「……急がなきゃ。」
フィーナは胸の《フローズン・ティア》を強く握りしめた。
(《風の神珠》を奪われたままじゃ、村の人たちが危険にさらされるかもしれない……)
「ルーク、カゼハ……頑張ろうね。」
「もちろんだぜ!」
「あぁ、行こう!」
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◆◇ 2. “将軍”との遭遇
「……止まれ。」
低く重い声が響いた。
木々の間から、黒い甲冑に身を包んだ大柄な男が現れた。
その腰には、大剣が鈍く光っている。
「……お前が“将軍”か?」
ルークが剣を構える。
「名はギルハルト。“影の手”の将軍にして、風の精霊王を打ち砕く者……」
ギルハルトがゆっくりと剣を抜いた。
「……“風の神珠”は返してもらうぞ!」
ルークが気迫を込める。
「愚か者め……お前たちの力で、我を止められると思うな。」
「そんなの、やってみなきゃわからない!」
フィーナが叫ぶと同時に、ギルハルトの剣が振り下ろされた。
「《ダーク・スラッシュ》!!」
闇の刃が地面を抉り、フィーナたちの足元に衝撃が走る。
「くっ……!」
「フィーナ、下がれ!」
ルークがフィーナを背にかばい、剣で攻撃を防いだ。
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◆◇ 3. エアリエルの介入
「風よ……我が声に応えよ。」
突然、どこからか柔らかな声が響いた。
「この声……まさか……」
カゼハが耳をピンと立て、辺りを見回した。
「……来たか、精霊王エアリエル。」
ギルハルトが剣を構え直す。
その瞬間、フィーナたちの前に銀色の羽が舞い降りた。
そして、風の精霊王**《エアリエル》**が優雅な姿を現した。
「我が力を汚す者よ……ここで消え去るがいい。」
「精霊王が直接出てくるとはな。面白い……!」
ギルハルトがニヤリと笑い、剣に闇の魔法を纏わせる。
「さぁ、来い……!」
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◆◇ 4. “風の神珠”の奪還戦
「フィーナ、今のうちに《風の神珠》を探せ!」
ルークが叫び、ギルハルトに突進する。
「でも、ルークが……!」
「大丈夫だ! 今はお前がやるべきことがある!」
「……うん、わかった!」
フィーナは決意のこもった目で頷き、カゼハと共に駆け出した。
「《ウィンド・スラッシュ》!!」
カゼハの放った風の刃がギルハルトに襲いかかる。
「ハッ、そんな風など……」
ギルハルトは軽く剣を振るい、風の刃を弾き飛ばした。
「……だが、その隙に……!」
ルークが《フレイム・ブレイド》でギルハルトの肩に斬りかかる。
「ぐっ……!」
ギルハルトの甲冑に傷が入り、黒い煙が噴き出した。
「やるじゃねぇか……」
ギルハルトはニヤリと笑った。
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◆◇ 5. “風の神珠”の力
「……あった!」
フィーナが茂みの中に転がった《風の神珠》を見つけた。
宝珠は淡い緑色の光を放ち、心地よい風が吹き抜けた。
「これを……!」
フィーナが宝珠に手を伸ばした瞬間——
「そうはさせるか……!」
ギルハルトが剣を振りかざし、フィーナに迫る。
「《ウィンド・スラッシュ》!!」
「《グレイシャル・エンド》!!」
カゼハとフィーナの魔法が交差し、ギルハルトの攻撃を弾き飛ばした。
「……お前ら、やるじゃねぇか……!」
ギルハルトが息を荒げる。
「……今だ、フィーナ!」
ルークが叫んだ。
「お願い……力を貸して!」
フィーナが《風の神珠》を握りしめ、祈りを捧げる。
次の瞬間——
《ウィンド・サンクチュアリ》!!
突風が渦を巻き、ギルハルトの体を包み込んだ。
「ぐああぁぁぁ!!」
闇の魔法が吹き飛ばされ、ギルハルトは地面に倒れ込んだ。
「やった……?」
フィーナが呟くと、エアリエルが静かに歩み寄った。
「よくやった。お前の力……“薬草の力”は、ただの癒しではない。
それは、風、炎、氷、そして光の力を繋ぐ希望の光なのだ。」
「……希望の光……」
フィーナは胸の《フローズン・ティア》をぎゅっと握りしめた。
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◆◇ 6. 仲間との再会
「フィーナ、よくやったな。」
ルークが微笑み、優しくフィーナの頭を撫でた。
「うん、でも……ルークがいてくれたから……」
「へへっ、オレ様もいたことを忘れるなよ?」
カゼハが尻尾をブンブン振って得意げに言った。
「ふふ、ありがとう。」
フィーナは優しく微笑んだ。
「……さぁ、次の目的地へ行こう!」
フィーナは、希望の光に導かれ、仲間と共に歩き出した。
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◆◇ 次回『目覚める光の精霊王! “薬草”の真の力、解放!?』




