第66話『闇の将軍の遺言と迫る最強の刺客』
◆◇ 1. ギルダスの最期と不穏な影
「……終わったか……」
ルークは剣を下ろし、深く息をついた。
ギルダスの氷に包まれた姿が、淡い黒い霧となって溶けていく。
「でも……なんか変だよ。」
フィーナが不安げに呟く。
「そうだな……まるで、これが終わりじゃないみたいな……」
ルークの言葉が終わるや否や——
「……ふふ……」
突然、ギルダスの崩れかけた身体がかすかに動き、冷たく歪んだ笑い声が響いた。
「貴様らが……何をしようと……もう……止まらぬ……」
「なに……?」
ルークが剣を構え直す。
「“影の手”は、すでに“闇の精霊王”の封印を解きかけている……貴様らは、絶望に沈むのだ……」
「……そんなの、させない!」
フィーナが《フローズン・ティア》を強く握りしめる。
「フッ……どれだけ足掻こうと、すでに“最強の刺客”が目覚めた……貴様らの運命は……終わりだ……」
ギルダスは不気味な笑みを浮かべながら、闇の霧に溶けて完全に姿を消した。
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◆◇ 2. 闇の精霊王が放った“最強の刺客”
「……“最強の刺客”って……?」
「わかんねぇけど、ヤバそうな奴が来るのは確かだな。」
カゼハが尻尾を立て、辺りの空気を嗅ぎ取る。
「ルーク、どうする?」
「……まずは“影の手”の拠点を突き止めないと。」
ルークが険しい表情を浮かべる。
「それと……」
ルークが真剣な目でフィーナを見つめた。
「フィーナ、お前は絶対に離れるな。どんな状況でも、俺のそばから離れないでくれ。」
「……うん。約束する。」
フィーナはルークの手をぎゅっと握り返した。
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◆◇ 3. 襲い来る刺客の足音
3人が森を抜けたそのとき——
カツ……カツ……カツ……
冷たい足音が響き、木々の間から現れたのは、全身を漆黒の鎧で包んだ巨大な男だった。
「……誰だ……?」
ルークが剣に手をかける。
「……私は“影の手”の“最強の刺客”……ヴァルゲイン。」
低く響く声が森にこだました。
「フィーナ・エルリーフ……お前の命をもらいに来た。」
「……フィーナは渡さない!」
ルークが剣を抜いて叫ぶ。
「ルーク……あいつ、今までの奴らと違うよ。」
カゼハの声が震えていた。
「……その覚悟、試してやろう。」
ヴァルゲインが大剣をゆっくりと構えた瞬間——
「《ダーク・エクスプロージョン》!!」
黒い爆風が地面を引き裂き、ルークたちは吹き飛ばされた。
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◆◇ 4. フィーナの奮闘
「フィーナ、逃げろ!」
ルークが立ち上がり、叫んだ。
「……いや、逃げない!」
フィーナは《フローズン・ティア》を手に取り、青白い光を放つ。
「《フローズン・バースト》!!」
氷の嵐が巻き起こり、ヴァルゲインの視界を覆う。
「そんな小細工……」
ヴァルゲインが振り下ろした剣が、氷を砕いてフィーナへ迫る。
「危ない!!」
ルークが飛び込み、フィーナを抱きしめるように庇った。
ザシュッ!!
ルークの背に、ヴァルゲインの剣が深く刻まれた。
「ルーク!!」
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◆◇ 5. 奇跡の目覚めとルークの誓い
「……ルーク、ダメ……しっかりして……!」
「フィーナ……」
ルークの目が薄く開き、かすれた声が漏れる。
「お願い……目を覚まして……!!」
「《セイクリッド・ブレス》!!」
フィーナが涙ながらに叫ぶと、《フローズン・ティア》が光り輝き、ルークの傷がゆっくりと癒されていく。
「……よかった……」
フィーナは涙をこぼし、ルークの手を強く握りしめた。
「……ありがとう、フィーナ。」
ルークが微笑み、弱々しくも優しく囁いた。
「……次は、俺が守るから。」
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◆◇ 6. 闇の精霊王の影
「クッ……今日はここまでか。」
ヴァルゲインは舌打ちをし、黒い霧に包まれて姿を消した。
「……次は、絶対にお前を討つ。」
残された空気には、冷たい闇の気配が漂っていた。
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◆◇ 7. 決意と共に進む道
「フィーナ……これからも、お前を守るから。」
ルークはフィーナの手を優しく握った。
「……うん。」
フィーナは微笑み、しっかりとルークの手を握り返した。
(どんなに強大な敵が来ても……)
(ルークとカゼハと一緒なら、絶対に負けない。)
「行こう、次の目的地へ。」
フィーナの胸には、仲間と共に戦う強い決意が宿っていた。
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◆◇ 次回『“影の手”の切り札! 闇の精霊王が放つ最強の刺客』




