第65話『忍び寄る“影の手”! 姿を現した黒き将軍』
◆◇ 1. 迫り来る不穏な気配
「……フィーナ、早く行くぞ。」
ルークが険しい表情でフィーナの手を引く。
「うん……」
さっきの戦いの緊張がまだ残る中、フィーナは胸元の《フローズン・ティア》を握りしめた。
(“薬草”の力が完全に目覚めたら、闇の精霊王が……)
嫌な予感が消えない。
「……また何かが来る。」
カゼハが低く唸った。
「またかよ……!」
ルークが剣を抜き、警戒を強める。
その時、木々の奥から不気味な影がゆらりと現れた。
「……あれは……」
黒い甲冑に身を包み、禍々しい大剣を担いだ男がゆっくりと歩み寄ってくる。
「“影の手”の……将軍か。」
ルークの目が鋭く光った。
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◆◇ 2. 黒き将軍、ギルダスの宣言
「フィーナ・エルリーフ……貴様が“薬草”の娘か。」
甲冑の男が重々しく名乗った。
「俺は“影の手”の将軍、ギルダス。」
「ギルダス……」
ルークが剣を握りしめる。
「貴様が持つ“薬草”の力……それを渡してもらおうか。」
「断る!」
フィーナがきっぱりと言い切る。
「フッ、愚かだな……」
ギルダスは嘲笑し、剣を地面に突き立てた。
「この大地に根付くものはすべて闇に沈む。我が刃の前に、無力さを思い知るがいい!」
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◆◇ 3. 暗黒の魔法と苦戦
「来るぞ!」
ルークが叫んだ瞬間、ギルダスが剣を振るった。
「《ダーク・スラッシュ》!!」
闇の波動が衝撃波となって迫り、フィーナたちは吹き飛ばされた。
「くっ……強い……!」
ルークが体を起こしながら呻く。
「フィーナ、下がってろ!」
カゼハがフィーナの前に立ちはだかった。
「《ウィンド・スラッシュ》!」
カゼハの風の刃がギルダスに襲いかかるが、黒い鎧がその刃を弾き返した。
「無駄だ……我が鎧は、風ごときに砕けはせん。」
「じゃあ……これなら!!」
ルークが《フレイム・ブレイド》で突進するが、ギルダスは余裕の表情で剣を受け止めた。
「甘い!」
ギルダスの一撃がルークの剣を弾き飛ばし、ルークは地面に叩きつけられた。
「ルーク!!」
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◆◇ 4. フィーナの覚悟
「ルーク……! カゼハ……!」
フィーナは立ち上がり、必死に二人をかばうように前に立った。
「フン……小娘が。」
ギルダスがゆっくりと剣を振り上げる。
(もう、守られてばかりじゃいられない……!)
「お願い……私に力を……」
フィーナは胸元の《フローズン・ティア》を強く握りしめた。
「《セイクリッド・ブレス》!!」
柔らかな光が放たれ、ギルダスの足元に絡みつく闇の霧が消えていく。
「なに……?」
「フィーナ……やれるのか?」
ルークが驚きの目を向ける。
「……やれる。」
フィーナは静かに頷いた。
「私は、みんなを守るためにここにいるんだから……!」
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◆◇ 5. 奇跡の力と勝利
「《フローズン・バースト》!!」
《フローズン・ティア》が淡く輝き、フィーナの手から凍える風が放たれた。
「うおおおぉぉ……!!」
ギルダスの体が氷に覆われ、動きを止める。
「……これで終わりだ!」
ルークが立ち上がり、剣を振り下ろした。
「《フレイム・ブレイド》!!」
炎の刃が氷ごとギルダスの体を貫き、彼は断末魔の声を上げながら崩れ落ちた。
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◆◇ 6. 新たな不安
「勝った……?」
フィーナが肩で息をしながら呟いた。
「いや……あいつが“影の手”の将軍なら、次はもっとヤバいのが来るかもしれねぇな。」
カゼハが苦い顔で唸った。
「……フィーナ。」
ルークが近づき、静かに言った。
「お前が狙われるのは、きっとこれからも続く。」
「……うん。」
「だから……」
ルークはフィーナの手を取り、真剣な瞳で言った。
「オレはずっと、お前を守るから。」
「……ありがとう。」
フィーナは頬を赤らめながら、ルークの手を優しく握り返した。
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◆◇ 7. 次なる旅立ち
「さて……次はどうする?」
カゼハが尻尾をふわりと振った。
「まずは“影の手”の動きを探らなきゃな。」
ルークが険しい表情で答えた。
「……行こう。」
フィーナは小さく息を吐き、胸元の《フローズン・ティア》をぎゅっと握りしめた。
(この力がある限り、私はきっと負けない……)
(ルークやカゼハと一緒なら、どんな闇にも立ち向かえる……!)
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◆◇ 次回『“影の手”の切り札! 闇の精霊王が放つ最強の刺客』




