表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/92

第63話『涙が力に変わる時! “薬草”の真の力、覚醒!?』

◆◇ 1. 闇の精霊王の宣告


「……待ってるぞ。」


 シャドウモアの声が響き、砕け散ったはずの水晶の破片が、再び漆黒の霧に包まれて舞い上がった。


「何……?」


「お前が持つ“薬草”の力が、真に覚醒するならば、我が試練を越えてみせるがいい……」


「試練……?」

 フィーナが戸惑いの声を漏らす。


「“薬草”とは、ただの癒しではない。絶望の淵に立つ者を導き、希望の光を与える……だが、その光は容易には手にできぬ。」


 シャドウモアの声は、重く響いた。


「真の“薬草”の覚醒には、絶望に打ち勝つ覚悟が必要だ。」


「覚悟……」

 フィーナはごくりと息をのんだ。


「ルーク、カゼハ……私、行くよ。」


「本気か?」

 ルークの声が不安に揺れる。


「フィーナ、オレ様も一緒に行くぜ!」


「……ありがとう。」


 フィーナの目に宿ったのは、確かな決意だった。



---


◆◇ 2. 闇の迷宮


「この霧……普通じゃねぇな。」

 カゼハが目を細め、周囲を警戒する。


「……“幻影”の気配がする。」

 ルークが剣を抜き、霧の中に目を凝らした。


「……フィーナ……」


「えっ?」

 フィーナが振り向くと、霧の中にぼんやりと人影が浮かび上がった。


「まさか……」

 そこに立っていたのは、亡くなったはずの母の姿だった。


「……嘘……お母さん……?」


「……こっちにおいで……フィーナ……」


「お母さん……?」


 フィーナの瞳に涙が滲んだ。


「フィーナ、ダメだ! それは……」

 ルークが止める間もなく、フィーナはその幻影に駆け寄った。



---


◆◇ 3. 絶望の記憶


「フィーナ……あなたは、また失うのよ……」


「え……?」


 幻影の母が、静かに言った。


「また……大切な人を……」


「そんなの……!」


「あなたの“薬草”の力がある限り、みんなが狙われる……」


「……そんなの、やだ……!」


「“影の手”は、きっとルークやカゼハも……あなたのせいで……」


「やめて!!」


「フィーナ!!」

 ルークの声が響き、フィーナの腕を強く引いた。


「目を覚ませ!! それは“幻影”だ!!」


「でも……お母さんが……」


「お前が頑張ってきたのは、みんなを守るためだろ!」


「……ルーク……」


 フィーナの目に涙があふれた。


「私は……私は……!」



---


◆◇ 4. 光の力の覚醒


「フィーナ……その悲しみを、怒りに変えろ。」


 フィーナの胸の《フローズン・ティア》が、柔らかい光を放ち始めた。


「その涙は……守りたいものがある証だろ?」


「……うん。」


 フィーナは、涙を拭い、静かに立ち上がった。


「私は……大切な人を守るために、“薬草”の力を手に入れたい!」


 《フローズン・ティア》が鮮やかに輝き、フィーナの手に氷の杖が現れた。


「……シャドウモア、私はあなたの試練を乗り越えてみせる!」



---


◆◇ 5. 闇の精霊王の試練


「ならば、見せてみるがいい!」


 シャドウモアの声が轟き、霧が渦を巻いて魔物の姿を形作った。


「……フィーナ、行くぞ!」

 ルークが剣を構える。


「オレ様が風の道を切り開く! フィーナ、あとは任せたぜ!」

 カゼハが勢いよく駆け出した。


「うん……任せて!」


「《ウィンド・スラッシュ》!!」

 カゼハの風の刃が魔物の足元をえぐり、その隙を突いてルークが剣を振るう。


「《フレイム・ブレイド》!!」

 炎の刃が魔物の体を斬り裂いた。


「……今だ、フィーナ!」


「《セイクリッド・ブレス》!!」


 フィーナの放った光が魔物を包み、やがてその姿は霧散した。



---


◆◇ 6. 使命の言葉


「見事だ……」

 霧の中にシャドウモアの姿が現れた。


「その強さ……確かに見せてもらった。」


「フィーナ、お前はこれからも狙われるだろう。」


「でも、その光があれば、必ず希望は繋がれる。」


「……はい。」


「その“薬草”の力を、正しき道に導くのだ。」


「……きっと。」


「行け……」

 シャドウモアの声が消え、霧が晴れ渡った。



---


◆◇ 7. 次の旅立ち


「……よくやったな。」

 ルークがフィーナの肩にそっと手を置いた。


「オレ様もカッコよかったろ?」

 カゼハが尻尾を誇らしげに振る。


「……ありがとう。」

 フィーナは優しく微笑み、再び胸の《フローズン・ティア》を握りしめた。


(もう、迷わない。私の力は、きっとみんなを守る力になるから……)


「さぁ、次の旅に出よう。」

 フィーナはまっすぐに前を向き、力強く一歩を踏み出した。



---


◆◇ 次回『“影の手”の陰謀と狙われた薬草』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ