表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/92

第62話『闇の精霊王の目覚めと“薬草”の宿命』

◆◇ 1. 闇の精霊王の目覚め


「……これは……?」

 フィーナが呟いた。


 《ルミナの聖域》の最奥。

 そこには、不気味に脈動する黒い水晶が浮かんでいた。


「……気味が悪いな。」

 ルークが剣を抜き、警戒しながら進む。


「何だか、オレ様の毛が逆立ってる気がするにゃ……」

 カゼハが尻尾を膨らませ、警戒の声を上げる。


 その時——


「……来たか、選ばれし“薬草”の娘よ。」


 黒い水晶の中から、冷たく響く声が聞こえた。


「誰……?」


「我が名はシャドウモア……闇の精霊王。」


「闇の精霊王……!?」

 フィーナの顔が強張った。


「お前の持つ“薬草”の光……それこそが、我の封印を破る“鍵”なのだ。」


「そんなの……絶対にさせない!」

 フィーナは胸元の《フローズン・ティア》を強く握った。


「……力を貸して……!」


「その力では……我の封印は破れぬ……」

 シャドウモアの声が低く響き、次の瞬間——


黒い影の魔物が水晶から這い出し、フィーナたちに襲いかかった。



---


◆◇ 2. 闇の魔物との戦い


「来るぞ!」

 ルークが剣を抜き、炎の魔法を纏わせた。


「《フレイム・ブレイド》!!」


 燃え上がる刃が魔物を切り裂くが、闇の霧が再びその体を修復する。


「こいつ……倒しても回復するのか!?」


「なら、フィーナの力で浄化できるんじゃねぇか?」

 カゼハが叫ぶ。


「フィーナ、オレ様が道を作るから、その隙にいけ!」


「うん!」


「《ウィンド・スラッシュ》!!」

 カゼハの風の刃が魔物の体を切り裂き、一瞬だけ霧が薄くなる。


「今のうちだ、フィーナ!」


「お願い……力を貸して!」


「《ヒール・ブレス》!!」


 フィーナの両手から放たれた柔らかな光が、魔物に降り注ぐ。

 闇の霧は一瞬で消え、魔物の体が崩れ落ちた。


「やった……?」


「……まだだ。」

 シャドウモアの声が響き、水晶の中からさらに巨大な魔物が姿を現した。



---


◆◇ 3. “薬草”の覚醒と光の力


「このままじゃ……!」

 フィーナは焦りながら、再び《フローズン・ティア》に手を当てた。


「お願い……もっと強い力が欲しいの……!」


 その瞬間、フィーナの体が柔らかな緑の光に包まれた。

 その光は、まるで森のように穏やかで、けれど確かな力を感じさせるものだった。


「……フィーナ?」

 ルークが驚きの声を漏らす。


「《セイクリッド・ブレス》!!」


 フィーナの光が巨大な魔物を包み込み、次第にその体が霧のように消えていく。


「……すごい……」


「やったな、フィーナ!」

 カゼハが嬉しそうに尻尾を振った。



---


◆◇ 4. 闇の精霊王の狙い


「……見事だ、選ばれし“薬草”の娘よ。」

 シャドウモアの声が再び響いた。


「だが、その力は未だ完全ではない。」


「え……?」


「お前が持つその“薬草”の力は、さらに“進化”する。

 だが、その力を完全に覚醒させるためには、“ある儀式”が必要だ。」


「……儀式?」


「その儀式さえ手に入れば、お前の力は完全に解放される。

 そして——その力は、封印を破る“鍵”にもなる。」


「……そんなの、あなたの思い通りにはならない!」


「ふふ……楽しみにしているぞ……」

 シャドウモアの声は徐々に消え、黒い水晶は砕け散った。



---


◆◇ 5. ルークの決意とフィーナの覚悟


「……フィーナ、大丈夫か?」

 ルークが優しく声をかけた。


「うん……」


「お前の力は、きっとこれからも狙われる。」

 ルークは不安そうにフィーナの手を握った。


「オレがついてるから……無理だけはするな。」


「……うん。」


 フィーナはルークの瞳を見つめ、小さく微笑んだ。


「でも……私はもう、守られてばっかりじゃいられないから。」


「フィーナ……」


「私、強くなる。ルークやカゼハと一緒に、絶対にみんなを守ってみせる!」


「……そっか。」

 ルークはその言葉に、小さく笑った。


「じゃあ、オレももっと強くならなきゃな。」


「へへっ、オレ様が一番強いけどな!」

 カゼハが得意げに胸を張った。


「……うん。」

 フィーナは再び《フローズン・ティア》を握りしめ、決意を胸に刻んだ。


(私の力は、守るための力……)


(絶対に、負けない……)



---


◆◇ 次回『闇の精霊王の試練! “薬草”に課された使命』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ