第58話『“薬草”が秘めた禁断の力!? 狙われたフィーナとルークの誓い』
◆◇ 1. 疲労と不安
「……ねぇ、ルーク、肩……大丈夫?」
森を抜け、ようやく安全な場所で休息を取ることができた。
「心配しすぎだって。」
ルークは気丈に笑ってみせたが、彼の顔色は悪く、額には汗がにじんでいた。
「無理しないで。さっきの魔法、完全に治しきれなかったかもしれないし……」
「大丈夫だ。お前が回復してくれたおかげで、何とか動ける。」
ルークはそう言いながらも、右肩を押さえて顔を歪めた。
「ルーク……」
フィーナは不安そうに見つめた。
「……オレがもっとしっかりしてれば、お前が狙われることもなかったのに……」
「違うよ! ルークがいたから私は助かったんだよ!」
「でも——」
「ルークがそばにいてくれるから、私は頑張れるの!」
「……フィーナ……」
ルークはフィーナの言葉に目を見開き、その瞳の中にある強さを感じた。
「……お前、強くなったな。」
「ふふ……お互い様だよ。」
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◆◇ 2. 薬草の力と“影の封印”
「ねぇ、さっきの敵の言ってた“影の封印”って、どういうことだろう?」
「わかんねぇ……」
カゼハが尻尾を揺らしながら、険しい表情を浮かべた。
「でも、“薬草”の力が封印を破れるってのは、気になるな。」
「うん……」
フィーナは《フローズン・ティア》を握りしめた。
「そもそも、フィーナが“薬草”として狙われる理由がわからねぇ。お前の回復魔法がすごいのはわかるけど、それだけであんなに執着するか?」
「……きっと、“薬草”の力にはもっと大きな秘密があるんだ。」
ルークの声が低く響いた。
「俺たちが知らない“薬草”の本当の力が、あいつらにとって重要なはずだ。」
「……お母さんなら、知ってるかもしれない。」
フィーナがポツリと呟いた。
「えっ?」
「私の母は、薬草の研究をしてたの。だから……もしかしたら、何か手がかりが残ってるかも。」
「よし、まずはフィーナの実家に行ってみよう!」
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◆◇ 3. 迫り来る“影の手”
森を抜ける直前、フィーナは不安に駆られて立ち止まった。
「……どうした?」
ルークが立ち止まり、振り返る。
「……何か、嫌な感じがする。」
「ん? 俺は何も——」
「見つけたぞ。」
低く冷たい声が響き、木々の間から黒いローブの集団が現れた。
「“影の手”……!」
「フローズン・ティアは返してもらおうか。そして、その“薬草”の娘もな。」
「フィーナ、後ろに!」
ルークが剣を抜き、フィーナをかばうように立ちふさがる。
「オレ様に任せとけ!」
カゼハが素早く前に出て、鋭い風の刃を放った。
「《ウィンド・スラッシュ》!」
ザシュッ!!
風の刃が敵のローブを切り裂くが、敵のうちの1人が手をかざして影の壁を生み出し、攻撃を防いだ。
「無駄だ。」
その男の瞳は、赤黒く不気味に光っていた。
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◆◇ 4. ルークの覚醒
「ルーク、そっちは危ない!」
カゼハが叫ぶが、ルークは冷静に剣を構え、敵に突進した。
「《フレイム・ブレイド》!」
剣が赤く燃え上がり、炎の刃が敵の影の壁を切り裂く。
「なっ……!」
「フィーナ、今のうちに逃げろ!」
「……でも!」
「お前だけでも逃げろって!」
「……いや!」
フィーナは迷わず、胸の《フローズン・ティア》に手を当てた。
「お願い……力を貸して!」
《グレイシャル・エンド》!!
氷の剣が現れ、フィーナは敵の前に立ちはだかった。
「フィーナ……!」
「ルーク、私も一緒に戦う!」
「……わかった。二人なら、勝てる。」
ルークの瞳に、決意の炎が宿った。
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◆◇ 5. 戦いの後、深まる想い
「……終わった?」
敵が撤退し、ルークがゆっくりと剣を下ろした。
「フィーナ、大丈夫か?」
「うん……」
フィーナは、ルークのそばに駆け寄り、胸に飛び込んだ。
「怖かった……でも、ルークがいてくれたから……」
「お前が無事で良かった。」
ルークはフィーナの肩を抱きしめ、その頭を優しく撫でた。
「フィーナ、これからもずっと一緒にいてくれ。」
「……うん。」
その言葉に、フィーナの心は温かく満たされていた。
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◆◇ 次回『フィーナの母の秘密と“薬草の力”の真実』




