第45話『フィーナの覚悟と炎の羽飾り!』
◆◇ 1. フィーナの覚悟と反撃
「……汝らが精霊王から授かりし守護の証を持つ者か?」
燃え盛る炎の壁が揺らぎ、その中から堂々たる気配をまとった人物が現れた。
燃えるように赤い髪と鋭い金色の瞳——その姿は、まさに炎の化身そのものだった。
「……あれが……?」
「私は“炎の精霊王”、イグニス。」
「炎の……精霊王……」
フィーナはごくりと息をのむ。
「汝らがシルヴィスの腕輪を持ち、エアリエルの試練を乗り越えた者か……」
「はい!」
「ならば、次の“守護の証”を授けよう。」
イグニスが手をかざすと、赤く輝く羽飾りが宙に浮かび上がった。
「これが、“炎の羽飾り”だ。」
「すごく……綺麗……」
フィーナはそっと手を伸ばし、羽飾りを受け取った。
不思議な感触がする。触れた瞬間、まるで炎の熱ではなく、柔らかな暖かさが手のひらに広がった。
「その羽飾りには、汝の体力と回復力を底上げする力が宿っている。」
「体力と……回復力?」
「うむ。風の羽衣は防御と機動力を高めるが、長時間の行動や戦闘には疲労が蓄積する。だが、炎の羽飾りを身に着ければ、汝の身体はより強靭になり、傷の癒えも早くなるだろう。」
「……すごい!」
「シルヴィスとエアリエルが選んだ者ならば、この力を使いこなせるはずだ。」
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◆◇ 2. 精霊王たちの関係
「シルヴィスとエアリエル……彼らとあなたは、知り合いなんですか?」
「ふっ、あやつらと? そりゃあ、長い付き合いだ。」
イグニスの声に、どこか懐かしむような響きが混ざる。
「シルヴィスは口数が少なく、理屈っぽい奴だったな。昔はよく森の奥で一緒に戦ったものだ。」
「えっ、シルヴィスが戦いに?」
「森を脅かす外敵を討つためにな。シルヴィスの魔法は繊細だが、隙のない戦いぶりには感服した。」
「……確かに、すごく落ち着いてる人だったかも。」
「そしてエアリエル……あいつは、気まぐれで短気な奴だが、風の動きには誰よりも敏感だ。昔、氷の精霊王との戦いでは、風を利用して奴の凍結魔法を切り裂いたこともある。」
「エアリエルって、短気なんだ……」
「……まぁ、今は随分と丸くなったがな。」
イグニスは苦笑し、フィーナの手に握られた羽飾りに視線を落とした。
「その力をどう使うかは、お前次第だ。……決して、恐れるな。」
「はい!」
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◆◇ 3. ルークとフィーナ、再び誓う
「……よし、じゃあ行くか……」
洞窟の外に出ると、ルークが苦しそうに立ち上がった。
右腕の包帯にはうっすらと血がにじみ、まだ痛みが残っているようだった。
「ルーク、無理しないでよ……」
「……無理するなって言われてもな。」
ルークは苦笑いしながら、ゆっくりと歩き出した。
「でも……これからが本番だ。」
「……え?」
「“影の手”がこのまま黙ってるわけがない。きっと、また俺たちを狙ってくる。」
ルークの声は低く、険しかった。
「だから……お前はこれからも危険な目に遭うかもしれない。」
「……うん。」
フィーナはぎゅっと拳を握った。
「でも、わたし……逃げない。」
「……フィーナ……」
「今までずっと、ルークに守られてばっかりだった。でも……今度は、わたしがルークとカゼハを守るんだから!」
力強く言い切るフィーナの言葉に、ルークは小さく笑った。
「そっか……頼りにしてる。」
「ふふっ、任せてよね!」
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◆◇ 4. 新たなる旅立ち
「次はどこへ行くの?」
「“氷の精霊王”がいる場所を探さなきゃな。」
「氷の精霊王かぁ……寒そうだね。」
「ふん、オレ様の毛があるから大丈夫だろ?」
「ふふ、カゼハが温かいなら安心かも。」
「……ま、頼りにしてもいいぜ。」
カゼハは得意げに尻尾をふりながら、ルークの隣にぴたりと並んだ。
「さぁ、次の旅に出るぞ!」
フィーナは胸に“炎の羽飾り”をしっかりと抱きしめながら、力強く歩き出した。
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◆◇次回『影の追跡者! 動き出す“影の手”の罠!』




