第42話『炎の地へ! 火の精霊王の試練が始まる!?』
◆◇ 1. 新たな旅立ち
「次は、“炎の地”か……」
ルークが地図を広げながら呟いた。
「火の精霊王のいる場所って、どんなところなの?」
「確か、火山地帯にある“灼熱の洞窟”だったはずだ。岩だらけの場所で、まともに水もない。行くだけで骨が折れるな。」
「えぇぇ……また大変な旅になりそう……」
「けど、火の精霊王の贈り物が手に入れば、俺たちの旅はもっと安全になる。」
「……でも……」
「ん?」
フィーナは視線を落とし、小さく唇を噛んだ。
「……また、私のせいでルークが危ない目に遭ったら……って思うと……」
「……フィーナ。」
「ルークが無事だったから良かったけど……もし次は……」
「……大丈夫だ。」
ルークはフィーナの肩に手を置き、優しく微笑んだ。
「今までもお前がいたから、俺は助かったんだ。」
「でも……」
「それに、次は“俺が”お前を守る。」
「……うん。」
フィーナは小さく頷いたが、心の奥にはまだ不安が渦巻いていた。
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◆◇ 2. 灼熱の洞窟への道
「うぅ……暑いよぉ……」
フィーナは額ににじんだ汗をぬぐいながら、荒れた道をよろよろと進んでいた。
一歩踏み出すたびに、靴の下で小さな岩がごろりと転がり、砂埃が舞い上がる。地面はひび割れて干上がり、あちこちから立ち上る熱気が肌を突き刺した。
日差しは容赦なく降り注ぎ、周囲の景色が陽炎に揺らめいていた。
「ここって……ほんとに道なの?」
「……道というより……崩れかけた火山岩の上だな。」
ルークの声もわずかに苦しそうだった。
岩場のあちこちには黒ずんだ焼け跡が残っており、吹き出した溶岩が冷え固まっている場所もある。地面に小さな火口がぽっかりと口を開け、ゴウッと音を立てながら炎が吹き上がる。
「ひゃぁっ!? 火が……!」
「慌てるな。あの火は大きくはならない。」
「わ、わかってるけど……」
足元の熱は容赦がなく、まるで地面そのものが火に包まれているようだった。
フィーナは自分の腕を見下ろした。いつもの爽やかな薬草の香りは、じっとりとした汗と混ざり合い、どこか不快な匂いになっていた。
「……私、このまま枯れちゃうんじゃないかな……」
「そんなこと、させるか。」
「ルーク……?」
「……お前が倒れたら、俺は誰に支えてもらえばいいんだ。」
「……ふふっ、そんなの……ルークが守ってくれればいいでしょ?」
「だから、お前が必要なんだよ。」
ルークは微笑みながら、フィーナの肩をぽんと叩いた。
「しっかりついて来い。ここは危険な場所だ。」
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◆◇ 3. 不穏な気配
「ねぇ、ルーク……なんか、変じゃない?」
「……あぁ、感じる。」
「お前たち、気づいたか?」カゼハが耳をぴくりと動かしながら言う。
「何かがついてきてる……」
「……影の手?」
フィーナの顔が一気に青ざめた。
「かもしれないな。」
「でも……なんで?」
「……影の手が、魔物を操っている可能性がある。」
「えっ……!?」
「最近、妙に魔物が多すぎる。お前の匂いだけが原因とは思えない。」
「……私のせいでルークとカゼハが……」
「……だからって、逃げてばかりじゃダメだろ?」
ルークは冷静に言った。
「これからは、俺たちが追う側に回る。影の手が何をしようとしているのか……次の街で情報を集めよう。」
「……うん……」
フィーナはギュッと腕輪を握りしめ、再び覚悟を決めた。
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◆◇ 4. 灼熱の洞窟と火の精霊王
ようやく洞窟の入り口にたどり着いた3人。
「ここが……」
目の前には、赤い輝きを放つ巨大な扉がそびえていた。
「入っていいのかな……?」
「試練を受ける覚悟があるなら、扉は開くだろう。」
ルークが扉に手をかけると——
ゴゴゴゴゴ……
大地が揺れ、扉が静かに開かれた。
「来たか……」
炎の揺らめきの中に、巨大な炎の姿が現れた。
「私は“火の精霊王”、イグニス。」
「炎の精霊王……!」
「シルヴィスとエアリエルの贈り物を持つ者よ。次は、我の試練に挑むがよい。」
「試練って……どんな?」
「お前たちには、灼熱の洞窟を抜け、“火炎の番人”を討つ試練を課す。」
「火炎の番人……?」
「そやつは強靭な身体と激しい炎を操る者。だが、その者を打ち倒し、真の勇気を示したなら、“炎の羽飾り”を授けよう。」
「……やるしかないか。」
ルークは剣を握りしめ、フィーナの方を振り返った。
「行くぞ。」
「……うん!」
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◆◇次回『灼熱の洞窟! 火炎の番人フレイムホーン登場!』




