第41話『ルークを救え! 川の魔物スリザーレイクとの決着!』
◆◇ 1. 流されるルーク
「ルーク!!!」
フィーナの叫びが響く中、ルークの姿は激しい川の流れに呑み込まれて消えてしまった。
「ルーク……ルーク!!」
目の前で消えた仲間。あまりに突然の出来事に、フィーナは足がすくみ、頭が真っ白になった。
「どうしよう……どうしよう……っ!」
フィーナの手は震え、喉がカラカラに乾いていく。涙が滲み、呼吸が苦しくなった。
「フィーナ、落ち着け!」カゼハが鋭く声をかける。
「でも……ルークが……ルークがぁ!!」
「お前が飛び込んだら全員終わりだ! ルークは簡単にやられねぇよ!」
「……でも……っ」
カゼハの言葉が耳に入らない。
(私のせいだ……私が“薬草”のせいで魔物を引き寄せたから……!)
頭にぐるぐると後悔が渦巻く。
「……でも……ルークが……」
「オレ様が見つける!!」
カゼハが風を操り、水流を探り始めた。
「……いた! あの流れの先だ!」
「カゼハ、お願い! ルークのところに風を送って!」
「任せろ!」
カゼハが渦を巻く風を作り、水面の流れを押し返した。
「……見えた!」
フィーナの目がルークの姿を捉えた。彼は川の中の岩にしがみついている。だが、そのすぐ後ろではスリザーレイクが口を開き、ルークに迫っていた。
「ルーク!!!!」
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◆◇ 2. フィーナの決意
「フィーナ、お前、まさか……!」
「……ルークを助ける!」
震える声の中には、強い決意が込められていた。
「待て! 無茶だ!」
「……そんなこと言ってられないの!」
(ルークがいなくなったら……私、もう……!)
フィーナは魔法の光を両手に集めた。
「お願い……お願い……届いて……!」
「《ウィンドバインド》!!」
風の帯がルークの腕に絡みつき、フィーナは全力で引き寄せようとする。
「ルーク!! 手を伸ばして!!」
「くっ……!」
ルークが必死にフィーナの風の帯を掴んだ。
「……しっかり掴んで……お願いだから……!」
涙が目尻を伝い、フィーナの声は震えていた。
「カゼハ!!」
「やるぞ!!《ウィンドブレード》!!」
カゼハの風の刃がスリザーレイクの目元をかすめ、魔物が怯んだ。
「今だ!!」
「ルーク、引っ張るよ!!」
「……ッ!」
フィーナは腕がちぎれそうなほど全力で風の魔法を引き寄せ、ルークが筏の残骸にしがみついた。
「……間に合った……」
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◆◇ 3. 逆襲の刃
「ルーク!! 大丈夫!?」
「……フィーナ、ありがとう。」
ルークの声は弱々しかったが、微かに笑っていた。
「でも……まだ終わってない……」カゼハが険しい声で言った。
スリザーレイクが再び水面から頭をもたげ、鋭い目でこちらを睨んでいた。
「……行くぞ。」
ルークは剣を握りしめ、力を込める。
「ルーク、これを使って!」
フィーナはポケットから小さな薬瓶を取り出した。
「煙幕だ。これで視界を塞げば、ルークが急所を狙える!」
「……助かる。」
フィーナが薬瓶を投げる。
「今だ、ルーク!!」
「……終わりだ!!」
ルークの剣が輝き、スリザーレイクの首元へと突き刺さった。
「ギャァァァァ!!」
魔物は断末魔の悲鳴を上げ、そのまま川の底へと沈んでいった。
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◆◇ 4. 無事の再会
「ルーク……無事で良かった……」
フィーナはルークの腕をぎゅっと掴んだ。
「お前……無茶しすぎなんだよ……」
「……ごめん……」
「でも……ルークがいなくなったら……」
「……大丈夫だ。」
ルークはそっとフィーナの頭を撫で、疲れたように微笑んだ。
ふと、フィーナが自分の腕を嗅ぐ。
「……やっぱり私の匂い、魔物にモテすぎじゃない……?」
「いや、それは“モテる”とは言わねぇだろ。」カゼハが呆れたように言う。
「でも、このままだとまた魔物が寄ってきちゃうね……」
「次の街で対策を考えよう。」ルークが苦笑する。
「うん、何か考えないと……」フィーナは腕輪を見つめながら、小さく笑った。
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◆◇次回『炎の地へ! 火の精霊王の試練が始まる!?』




