第40話『筏の危機!? 川の魔物スリザーレイクの襲撃!』
◆◇ 1. 川のほとりで
「えぇぇ!? 川を渡らないと進めないの!?」
フィーナは思わず声を上げた。目の前には、幅の広い川がうねりながら流れている。青く透き通る水は美しいが、その流れは穏やかとは言い難い。
「ここは“蛇の谷”って呼ばれてる場所だ。」ルークが険しい顔で川を見つめる。「この川の上流も下流も、渓谷がずっと続いてる。回り道は無理だな……」
「えぇぇ……じゃあ、どうするの?」フィーナは顔をしかめた。
「筏を作るしかないな。」
「い、いかだ……!? そんなの作れるの?」
「ふんっ、任せとけ。」カゼハが自信満々に胸を張る。「木を倒して運ぶくらい、余裕だぜ!」
「よし、じゃあ手分けしよう。」ルークが鋭く指示を出した。
「カゼハは木材集め。フィーナはツルやロープ代わりになる植物を探してくれ。俺は木を加工して筏にする。」
「はーい!」
「まかせろ!」
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◆◇ 2. 筏作り開始!
「このツルなら丈夫そう!」
フィーナは草むらを掻き分け、絡み合ったツルを丁寧に引き抜いた。指先に力を込めると、粘り気のある樹液がツルの隙間から滲み出る。
「……これなら、しっかり固定できそう!」
ルークのもとに戻ると、彼はすでに見事な木材を組み上げ、筏の土台を完成させていた。
「ルーク、これ使えそうだよ!」
「おぉ、助かる。……やっぱり役に立つな。」ルークは笑みを見せながらツルを受け取る。
「ふふっ、でしょ!」
「ふんっ、オレ様の方がもっと役に立ってるけどな。」カゼハが自慢げに言う。
「でも、カゼハが頑張ってくれたおかげだよね!」
「……まぁな。」
得意げにふんぞり返るカゼハに、ルークが苦笑した。
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◆◇ 3. 筏での川渡り
「大丈夫かなぁ……」
フィーナは不安げに筏へと乗り込んだ。川の流れは思ったよりも速く、揺れる筏が頼りなげにきしむ。
「問題ない。慎重にいけば大丈夫だ。」ルークはオールをしっかりと握りしめ、流れに合わせて舵を取る。
「ま、オレ様が風で押してやるからな。」カゼハが尻尾を立てながら、さりげなく風を操る。
筏はゆっくりと水面を進み始めた。
「うわぁ……川の上って、なんだか気持ちいいね!」
フィーナが吹き抜ける風に目を細める。青空が広がり、鳥の鳴き声が心地よく響いていた。
「油断するな。」ルークが短く言う。
「えぇ~、こんなに穏やかなのに?」
「……何かがおかしい。」
ルークの声が険しくなった。
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◆◇ 4. 水面に潜む影
「……ん?」
ルークがオールを握る手を止めた。
「どうしたの?」フィーナが不思議そうに尋ねる。
「……今、何かが……」
水面がゆらりと揺れる。波とは違う、奇妙なうねりが広がった。
「なんか、嫌な予感がする……」
「……来るぞ。」ルークが剣に手をかける。
ドバァァァァンッ!!
突然、水面が爆発するかのように跳ね上がり、巨大な蛇のような魔物が飛び出した。
「スリザーレイク……!」ルークが低く呟く。
「えぇぇぇ!? 何あれ!?」
「フィーナ、お前の“匂い”につられてきたんだ!」
「えぇぇ!? なんでまた私がぁぁぁ!!?」
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◆◇ 5. 筏の危機! スリザーレイクの猛攻
「カゼハ、風で目をくらませろ!」
「任せとけ!《ウィンドブラスト》!!」
カゼハの風魔法が水しぶきを巻き上げ、スリザーレイクの視界を奪う。
「フィーナ、魔法で牽制しろ!」
「う、うん!《ウィンドバインド》!!」
フィーナの風の帯がスリザーレイクの胴に絡みつき、動きを鈍らせた。
「ルーク、今だ!!」
「……はぁぁぁぁ!!」
ザシュッ!!
ルークの剣がスリザーレイクの脇腹に深く突き刺さる。
「ギャァァァァ!!」
だが、のたうち回るスリザーレイクが筏に激しく衝突した。
「わぁぁぁぁ!? 筏が崩れる!!」
筏が大きく揺れ、ルークがバランスを崩した。
「ルーク!!」
ドボンッ!!!
ルークは川へと投げ出され、激しい流れに飲み込まれてしまった。
「ルーク!!!」
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◆◇ 6. 絶体絶命の危機
「くそっ……! フィーナ、離れるな!」
「無理!! ルークを助けなきゃ!」
「行くな! お前まで流されたら……」
「でも、ルークが……!!」
フィーナは涙ぐみながら、必死に川に手を伸ばした。
「……絶対に助けるんだから!!」
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◆◇ 次回予告
第41話『ルークを救え! 川の魔物スリザーレイクとの決着!』




