第34話『遺跡に潜む影! 迫り来る風の守護獣・風狐!』
◆◇ 1. 不気味に揺れる影
「……ルーク、あれって……」
フィーナが指差した遺跡の入り口には、霧の中でゆらゆらと揺れる巨大な白い影が見えた。
「……“影の手”じゃないな。」
「え? じゃあ、何……?」
「……守護獣だ。」
霧の中から現れたのは、九本の尾が風に舞う白銀の狐だった。
「……あれが、守護獣か。」
狐の赤い瞳が2人を鋭く見据え、牙を剥いて低く唸り声を上げる。
ズズズ……
次の瞬間——風狐の九本の尾が揺らめき、霧の中に無数の幻影の狐が現れた。
「えっ……!? どれが本物……!?」
「……フィーナ、後ろに下がれ。」
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◆◇ 2. 幻影に翻弄される2人
「こっちに来るよ!?」
「……いや、そっちは幻影だ!」
「えぇぇ!? もう何が本物かわかんないよ!!」
風狐の幻影が四方八方から襲いかかり、ルークとフィーナは避けるのに精一杯だった。
「くっ……このままじゃ埒が明かない……」
「ルーク、どうするの!? もうどれが本物かわかんないよ!?」
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◆◇ 3. ルークの策
「フィーナ、俺の薬に火をつけろ。」
「えっ?」
「“幻影崩しの香薬”だ。霧の中に広げれば、本物の狐だけが“影”を落とすはずだ。」
「そ、そんな薬まで用意してたの……!?」
「……まぁ、いつも通りだ。」
フィーナは懐から火打ち石を取り出し、ルークが投げた薬瓶に火をつけた。
ボンッ!!
煙が一気に広がり、幻影の狐が次々と薄れていく。
「フィーナ! 右奥……あれが本物だ!!」
「うん!」
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◆◇ 4. 決着の一撃
「……くらえぇぇぇぇ!!」
フィーナは腕輪の力で風狐の足元に突風を吹きつけ、動きを止めた。
「……終わりだ!!」
ルークが剣を振り上げ、風狐の胸元へと突き立てる。
ズバァァァッ!!
「ギャァァァァ……」
風狐は最後の咆哮を上げ、霧のように消えていった。
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◆◇ 5. 試練を乗り越えて
「はぁ、はぁ……勝った……?」
「……あぁ、終わった。」
「すごいよ、ルーク! “幻影崩しの香薬”がなかったら絶対勝てなかったよ!」
「……お前の腕輪の力がなかったら、俺の薬も役に立たなかったさ。」
「……ふふっ、そっか。」
二人はお互いに微笑み合った。
「ねぇ、ルーク……」
「ん?」
「……やっぱり、ルークってすごいね。」
「……別に。」
ルークは照れ隠しのように顔を背けるが、その耳はほんのり赤くなっていた。
(……なんか、ちょっとカッコいいかも……)
フィーナは小さく笑いながら、ルークの後を追った。
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◆◇次回:『風の精霊王の試練! 風の羽衣を手に入れろ!』
「……お前が、どの風に乗るのか——見せてもらおうか。」




