第33話『次の舞台は空!? 浮遊遺跡アルセイアへの道!』
◆◇ 1. 断崖の伝説
「ここが……“風の階段”の入り口?」
ルークとフィーナは険しい断崖の前に立っていた。
崖の下からは吹き上げるような強い風が巻き上がり、草や小石が宙を舞っていた。
「……なんか、すっごく危なそうな場所だね……」
「ここは**“風鳴りの崖”**と呼ばれている。昔、精霊が住まう聖域として人々が近づかなかった場所だ。」
「そりゃあ……こんなに風が強かったら、誰も来たがらないよね。」
「……だが、この崖のどこかに“風の階段”があるはずだ。」
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◆◇ 2. 風の階段の発見
「フィーナ、腕輪を頼む。」
「う、うん。」
フィーナはヒスイの腕輪にそっと触れ、目を閉じた。
(シルヴィス……助けて。道を教えて……)
すると、腕輪が淡く輝き、崖の一角に光の筋が浮かび上がった。
「……見えた! あそこ!」
「……よし、行くぞ。」
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◆◇ 3. 崖登りと“風の道”
「ルーク……これ、絶対落ちたら死ぬよね……?」
「……落ちるなよ。」
「いや、それができたら苦労しないよ!!」
吹き荒れる強風の中、ルークとフィーナは岩肌をつたいながら、光の道へと慎重に足を進める。
「……待って、なんかおかしい……」
「どうした?」
「風の流れが……さっきと違う……」
ルークは腰の薬袋から小瓶を取り出した。
「……“風の香薬”だ。これを使えば、風の流れが見えるはずだ。」
「そんな薬があるの!?」
「俺が作った。……あとは、うまく効いてくれればいいが。」
ルークは小瓶の液体を霧の中に注いだ。
すると——
スゥゥ……
霧の中に、淡い青い光の筋が浮かび上がった。
「すごい……!」
「この流れが“正しい風の道”だ。ついて来い。」
「うん!」
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◆◇ 4. ピンチとルークの活躍
「フィーナ、右だ!」
「は、はいっ!」
「次は左の流れに乗るぞ!」
「わ、わかった!」
ルークは的確に風の道を見極め、フィーナを導いていく。
(すごい……ルーク、こんなに頼りになるんだ……)
フィーナが感心しながら歩いていたその時——
「きゃっ!」
突風が吹きつけ、フィーナの足が滑った。
「フィーナ!!」
ルークが瞬時に飛び込み、フィーナの腕を掴む。
「……大丈夫か?」
「う、うん……」
「……ほら、行くぞ。」
何事もなかったかのようにルークは先を進もうとするが、フィーナは思わずつぶやいた。
「……ルークって、結構すごいんだね。」
「……何が?」
「だって、いつも冷たいけど……頼りになるっていうか……」
「……別に。」
ルークは顔を背けたが、その耳はほんのり赤くなっていた。
(……なんか、ちょっとカッコいいかも……)
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◆◇ 5. アルセイアに潜む影
「やったぁ! 着いたんだね!」
「……ああ。でも……」
ルークは遺跡の入口に広がる影を見つめ、険しい表情を浮かべた。
「……誰かが、来ている。」
「えっ?」
その瞬間——
ゴゴゴゴ……ッ!!
「……な、なに!?」
遺跡の中から、不気味な巨大な影が揺らめく。
「……“影の手”か……?」
「ルーク、どうしよう!?」
「……行くしかない。」
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◆◇次回:『遺跡に潜む影! 迫り来る風の守護獣!』
「……フィーナ、絶対に俺の後ろから離れるな。」




