第32話『謎の男の正体!? 王都に忍び寄る新たな脅威!』
◆◇ 1. 不穏な気配
「ルーク……なんか、最近おかしくない?」
「……おかしい?」
「うん。王都が“影の手”の話でざわついてるのは分かるけど……それだけじゃない感じがするの。」
「……確かに。」
ルークは王都の広場を見回した。市民たちは日常を取り戻しつつあるが、どこか落ち着かない様子が漂っていた。
「……あの人……」
フィーナが指さしたのは、黒いフードを深く被った男。人混みの中にいながら、妙にルークたちの動きを気にしていた。
「……行くぞ、フィーナ。」
「えぇぇ!? またぁ!? 」
「何かの手がかりかもしれない。」
「うぅ……旅に出てから、追いかけっこばっかりだよ……」
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◆◇ 2. 路地裏の奇襲
「そっちに行った!」
「待って!」
ルークとフィーナは、フードの男の姿を追って王都の路地裏へと駆け込んだ。だが、その先には——
ガシャァァン!!!
「なっ!? 閉じ込められた!?」
突如、背後で鉄の格子が下ろされ、逃げ道が塞がれた。
「フフ……やっと捕まえたぞ。」
「……やはり“影の手”の残党か。」
「さて、どうだろうな?」
フードの男がにやりと笑い、懐から黒く輝く短剣を取り出した。その刃には不吉な模様が刻まれ、禍々しい気配が漂っていた。
「……その短剣、前に見たものと同じか。」
「察しがいいな。俺は“影の手”の処刑人——ガルヴァスだ。」
「……処刑人?」
「貴様のせいで“影の手”の計画は台無しになった。だが……“ヒスイの腕輪”さえ奪えば、まだ挽回できる。」
「……フィーナの腕輪が狙いか……!」
「そうさ。渡せ。さもなくば……死ぬぞ。」
「……断る。」
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◆◇ 3. 闇の短剣 vs 光の刃
「なら、力ずくでいただくまでだ。」
ガルヴァスが闇の短剣を振り上げ、疾風のように襲いかかってきた。
「はぁっ!」
ルークは素早く指輪に手をかけ、光の刃を展開する。
ガキィィィン!!!
「ふはははっ!! 面白い! お前の光が、俺の闇に勝てるかな?」
ルークの光の刃と、ガルヴァスの闇の短剣が激しく火花を散らす。ルークは必死に攻撃をさばきながら、ガルヴァスの隙を狙っていた。
「くっ……!」
「どうした? お前の“王の証”も、ずいぶんと頼りないものだな?」
「……っ!」
その瞬間、ルークの光の刃がわずかに揺らぎ、力が弱まった。
「……しまった。」
「ふふっ……その隙、もらったぞ!」
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◆◇ 4. フィーナの反撃
「ルーク、危ない!!」
ガルヴァスの短剣がルークに迫ったその瞬間——
キィィィィン!!!
「ぐっ!? こ、これは……!?」
フィーナがヒスイの腕輪を握りしめ、強く願った。
「……森の精霊王、守って……!!」
腕輪が鮮やかな緑の光を放ち、周囲に小さな結界が張られた。
「なっ……くそっ!!」
ガルヴァスは短剣で結界を切り裂こうとしたが、光が刃を弾き返した。
「ルーク、今のうちに!」
「……助かった。」
ルークは素早く間合いを取り直し、再び光の刃を握りしめた。
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◆◇ 5. ルークの一撃
「……“王の証”よ、力を貸せ!」
ルークが再び念じると、光の刃が鋭く輝き、まるで稲妻のような光が駆け抜けた。
「くそっ……!」
「……終わりだ!」
ズバァァァン!!!
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
ガルヴァスの短剣は真っ二つに砕け、その身体は闇の霧のようにかき消えた。
「……ふぅ。」
「や、やったの?」
「……あぁ。だが、あいつが最後の敵とは思えない。」
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◆◇ 6. ガルヴァスの最期の言葉
「……ルーク・アステル……」
「……!?」
消えゆくガルヴァスが、苦しげに呟いた。
「……“影の王”が……次に狙うのは……“風の精霊王の場所”だ……」
「……!」
「ふふ……次は……逃がさないぞ……」
その言葉を最後に、ガルヴァスは完全に消滅した。
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◆◇ 7. 次なる旅路へ
「“風の精霊王の場所”……?」
「ルーク、今の……?」
「……あいつらが次に狙うのは、その場所ってことか。」
「ねぇ……次は、逃げるだけじゃなくて、ちゃんと先回りしようよ。」
「……そうだな。」
ルークは地図を取り出し、風の精霊王が眠る場所を確認した。
「よし、王都を出るぞ。次の目的地は……ここだ。」
「うん!」
二人は静かに頷き合い、次の冒険へと歩き出した——。
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◆◇(次回『追跡者を振り切れ! 新たな旅立ち』)




