第27話『追跡者との接触!? 明かされる“例のもの”の正体!』
◆◇ 1. 再会する“逃亡者”
「はぁ……はぁ……」
「……なんとか撒いたか。」
王都の外れ、人通りの少ない広場で、ルークとフィーナはようやく足を止めた。
「もう……無理……」
「……お前、さっきから“無理”しか言ってないな。」
「だってぇ……!! 今日は一体何回走ったと思ってるの!? もう足が棒だよ……」
「……立て。」
「むぅぅぅ……」
フィーナがむくれながら立ち上がった、そのとき——
「おやおや、相変わらず仲が良いことで。」
「……!!」
不意に聞こえた声に、ルークは剣に手をかけ、フィーナは思わず飛び跳ねた。
「老人さん……!?」
「へぇ、覚えていてくれたかい?」
闇の中から現れたのは、情報屋の老人だった。相変わらずの飄々とした笑みを浮かべながら、彼はルークたちに近づいてきた。
「……なんでここに?」
「それはこっちのセリフさ。」
老人は苦笑しながら、懐から何かを取り出した。それは——
一冊の古びた文書 だった。
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◆◇ 2. “例のもの”の正体
「これが“例のもの”さ。」
老人は古文書をルークの前に置く。フィーナは興味津々に覗き込んだ。
「な、なにこれ? ただの古い本?」
「……いや。」
ルークは表紙の刻印をじっと見つめる。そこには、王都の象徴である“銀の月”の紋章が刻まれていた。
「王家の印……?」
「おぉ、見る目があるね。」老人が頷いた。
「こいつには、王都の“影”に関する秘密が記されている。権力者たちはな、その事実を隠すために、この文書を探しているんだ。」
「……“影の手”の連中が探しているのは、これのことか。」
「あぁ。で、問題は——」
「……問題?」
「その文書の中に、君たちの名前 が書かれているってことさ。」
「……なに?」
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◆◇ 3. 暴かれた“血の記録”
「この文書は、王家の裏の歴史……いや、“汚点”を記したものさ。」老人は静かに語り始める。
「数十年前、王国の王位継承争いがあったのは知っているかい?」
「……あぁ、聞いたことがある。」
「その争いで敗れた一族がいた。表向きは王家の一員として名誉ある地位を与えられたが、実際には——」
「王家から“追放”されたんだろ?」
「正解さ。」
老人は笑みを消し、真剣な表情になった。
「……その追放された一族の末裔が、今も王都にいる。しかも、その者が“王位の正統な血筋”を持つ人物でね。」
「……それが、俺たちに関係しているのか?」
「そうさ。」老人は文書のページを開き、ある名前を指さした。
ルーク・アステル
「……!?」
「これは、君の父親の名前だ。つまり——」
「俺の父が、その“正統な血筋”……?」
「……残念ながら、そうさ。」
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◆◇ 4. ルークの葛藤
「じゃ、じゃあ……ルークって、王族の血を引いてるってこと……!?」
「……俺は関係ない。」ルークは静かに言い放った。
「でも、でも! “影の手”が追ってるのって、ルークが……」
「……いや。」ルークは唇を噛み、視線を落とした。
「“影の手”が追っているのは、俺ではなく、俺の父が残した何か だろう。」
「その通りさ。」老人が頷いた。
「“影の手”は、王都の一部の貴族と繋がっている。そして、彼らは王位継承に関する“証拠”を探しているんだ。」
「証拠……?」
「君の父親は、追放される際に“あるもの”を持ち出していた。それが、この文書に記されている。」
「……あるもの?」
「……“王の証”さ。」
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◆◇ 5. “王の証”の行方
「“王の証”……?」
「そうさ。王位の正統性を証明するために代々受け継がれてきた、銀の月の指輪 のことだ。」
「指輪……?」
「そう。君の父親は、追放される際にその指輪を持ち出し、どこかに隠した。そして今、“影の手”はその指輪の行方を探している。」
「……俺が、その指輪のありかを知っているとでも思っているのか?」
「いや……だが、彼らはそう思い込んでいる。」
ルークは険しい表情で沈黙する。
(俺が王家の血を引いていた……そんなものはどうでもいい。だが……)
「……つまり、俺たちが追われる理由は、“父親のせい”ってことか。」
「……そういうことだ。」
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◆◇ 6. 新たな影の襲撃
「……そろそろ行かせてもらう。」
ルークは老人に背を向け、フィーナの手を引いた。
「ルーク、これからどうするの?」
「……今は、“影の手”の連中に捕まらないようにするしかない。」
「……そっか。」
「ふふ……まぁ、君たちがこれからどうするかは勝手だけどさ……」
老人がニヤリと笑った、そのとき——
ギィ……
「……っ!」
遠くの路地から、複数の黒い影がゆっくりと近づいてくるのが見えた。
「追いつかれたか……」
「おい、じじい……余計なことを喋ったな。」
「まぁねぇ。」老人は肩をすくめる。
「……逃げるぞ、フィーナ!」
「う、うん!!」
ルークとフィーナは再び走り出した。だが——
「逃がすかぁ!」
“影の手”の一人が鋭く短剣を投げつけてきた。鋭い刃が、ルークの腕をかすめる——!
「ルーク!!」
「……大丈夫だ!」
血が流れるのも気にせず、ルークは再び前を向いた。
「絶対に、あいつらの思い通りにはさせない——!」
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◆◇(次回『王家の秘密!? “王の証”を巡る攻防!』)




