第21話『やっと安心して眠れる!? でもルークは警戒モード全開です!?』
◆◇ 1. 旅人の親切!? それとも……新たな陰謀!?
「君たち、王都を目指してるんだろう? だったら、良い宿を紹介してやろう。」
優しげな旅人風の老人は、にこやかにそう言った。
「えっ、本当ですか!? ありがとうございます!!」
フィーナは、すぐに嬉しそうに反応する。
(やったぁ! これで今日はゆっくり休める!!)
しかし——
「……おい、待て。」
ルークが、フィーナの腕を掴む。
「え?」
ルークは、老人をじっと見つめたまま、微かに目を細める。
「……お前は誰だ?」
「いやいや、ルーク!! そんな失礼なこと聞いちゃダメだって!!」
フィーナは焦るが、老人は落ち着いたまま微笑んでいた。
「私はただの旅人さ。長い間、王都と近くの村々を行き来していてね。」
「……ほう。」
ルークはさらに疑いの眼差しを向ける。
(えっ、なんかルークめっちゃ警戒してる……?)
「君たちみたいな若い旅人が、初めて王都へ行くと、宿探しに苦労するものだろう? だから、ちょっとした親切さ。」
老人はそう言って、穏やかに笑う。
「……ふむ。」
ルークはしばらく沈黙した後——
「……案内してもらおう。」
「えっ!? いいの!? そんなに警戒してたのに!?」
「……少し気になることがある。」
「???」
(気になることって何!?)
フィーナは疑問に思いつつも、結局ルークに従い、老人の案内についていくことにした。
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◆◇ 2. 町の入り口、そして宿へ
老人の案内で、フィーナとルークは 王都近くの小さな宿へと向かった。
「ここだよ。」
古びたが、清潔感のある小さな宿だった。
(おぉ……! なんかいい雰囲気!!)
「王都は今、賑わっていてな。特に新人の旅人には、泊まる場所を探すのも大変だろう。」
「そうなんですね……! ありがとうございます!!」
フィーナが感謝の言葉を口にすると、老人は微笑んだ。
「はは、礼を言われるほどのことじゃないさ。では、私はこれで。」
そう言って、老人は静かに去っていった。
「……。」
ルークはその後ろ姿を見送りながら、微かに眉をひそめる。
「ルーク?」
「……まだ何か引っかかる。」
「えぇ……もう大丈夫じゃない?」
「……かもしれないが、念のため気を付けろ。」
(うぅ……ルークの勘って当たること多いから怖いなぁ……)
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◆◇ 3. 初めての宿泊! フィーナ、大興奮!?
「うわぁぁぁぁ!! ちゃんとしたベッド!!!」
フィーナは部屋に入るなり、勢いよくベッドにダイブする。
「ふわっふわぁ……!! 最高!!!」
「……はしゃぎすぎだ。」
ルークはため息をつきながら、荷物を整理している。
「だってぇ!! ここ最近、ずっと野宿とかで大変だったし!! こういうふかふかのベッドは超貴重なの!!」
「……まぁ、確かにな。」
ルークも旅慣れているが、快適な宿はそれなりに嬉しいようだった。
「それに……」
「それに?」
「なんか、ちょっとずつだけど、旅が楽しくなってきたなーって!」
フィーナは、ベッドの上で笑う。
「最初は怖かったけど……ルークがいるし、大丈夫な気がする。」
「……。」
ルークは、それを聞くと一瞬だけ目を伏せたが、すぐに視線を戻し——
「……気を抜くな。」
「もう、ルークは本当に素直じゃないなぁ!!」
「……うるさい。」
そうして、初めての宿泊を迎えるのだった——
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◆◇ 4. 真夜中の気配……!?
夜——。
「……。」
ルークは静かに目を開けた。
(……やはり、何かいるな。)
微かな気配を感じ、そっとベッドから起き上がる。
「んぅ……ルーク……?」
フィーナも、寝ぼけながら彼を見上げる。
「……寝てろ。」
「えぇ……?」
「少し様子を見てくる。」
「……むぅ……。」
フィーナは眠そうにまどろむが、ルークは既に部屋の外へと向かっていた。
宿の外——。
「……。」
ルークは、静かに周囲を見渡した。
(やはり、誰かがこの宿を見張っている……?)
彼の視線の先——
建物の影に、微かに人影が見えた。
(……やはり、あの老人は……ただの旅人ではなかったか。)
ルークは、その影をじっと見つめながら——
「……面白くなってきたな。」
そう静かに呟いた——。
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◆◇(次回『闇の気配!? ルーク、仕掛ける!!』)




