女の子でしょう?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
「……っ」
夢を見た。私が男装して男子校に侵入するという夢。なんで私が男装してるのかとか、なんで潜入しているのか、なんて聞くだけ愚問である。だって夢なのだから。それでもこれまでになくしっかりと、鮮明に覚えていることは確かである。
私は学ラン姿で廊下を歩いていた。放課後なのか、暖色が窓から零れ落ちている。今こうして迷うこと無く廊下を歩いているのは、先生の手伝いを頼まれたからだ。
そうして目的地である教室の引き戸を開けると、先に先客がいた。私のよく知る人物だった。彼は相変わらず夢見る様な妖艶な瞳を顔に嵌めて、何をするでもなくぼんやりとしていた。
しかし私が来たことに気が付くと、その長い脚で間合いを詰め、前に立つ。見上げると、にっこりとした笑顔がそこにあった。
「やぁ、君も手伝いをお願いされたのかな?」
「うん」
テーブルの上には書類の山が二つ程。これは確かに大変そうだ。と思って早速仕事に取り掛かろうとした矢先、ぴたりと顎を止められた。彼の親指と人差し指が私の顎を固定したのだ。それからゆっくりと顔を近づけると、その妖艶な瞳とかち合った。
「君……女の子でしょう? 男装しているみたいだけど、すぐに分かるよ」
「ど……どうして?」
「強いて言うなら仕草かな? 節々が何となく女の子っぽい」
それから唇からぬるりと舌を出し、ちろりと舌なめずりをした。背を優しく撫でられる。逃げられない様に、ぴったりと私の足の横に彼の足を寄せて。
「そんなに会いたいと思ってくれたの?」
そこで記憶が途切れる。でもなんか、凄いことされた気がする。いつも凄いことされてるけど。
ところ変わって此方現実の放課後。私は何時もの様に借りていた漫画を彼に返す。彼はペットボトルから水を飲んでいて、『返すのは少し待って欲しい』とジェスチャーした。
そうして飲み終わった後のこと。口の端から一筋の水が垂れてきた。吸血鬼が血を吸った後の様に、蠱惑的だった。
あぁ、思い出した。あの後私は首に思い切り吸われて、執拗に舐められたのだ。そうして口を離された後のこと、今と同じ様に一筋の液を垂らす。
「ごめんね。お返し有難うね」
何でもない様に受け取ったあと、彼はいつも通りに口を開く。
「俺の顔に何か着いていた?」
男装していても、何となく仕草で女の子って分かる様な無いような。そんな気持ちがあって、書いたこの本。
※作者が一番よく分かってません。
唇の端から何かを垂らすのは、やっぱり色っぽいです。
目と口に脳を焼かれた私から。
アイスが食べたいです。