年上の言うことはちゃんと聞いたほうがいいという話
「ったくなんなのよほんと!」
日差し照りつける真っ昼間、私はとても凄い無茶苦茶イライラしなから歩いていた。
ほんと突発的に城を飛び出したもんだからこの動きにくいドレスと真夏のような暑さのせいでお風呂に入ったばっかのに既に汗だくだ。
それに後ろにはバッチリ護衛の人達も鳴りを潜めてピッタリとお付きになさっておる。
気づいてないとおもったか。
私前世から背後に付かれるのが凄く嫌で、それをやられるくらいなら逆に私が背後にいくってくらいに。
まあ女王の娘に護衛の一人もつかないのはそれはそれでどうなの?って感じだししょうがないけどさ。
凄い気になるんですわ。
そうイライラとソワソワとダラダラを繰り返しているうちに気づいたら城から1番近い城下町に来てしまった。
立場が立場なのでこういう人が沢山いるとこは絶対に行ってはいけないとお母様に口を酸っぱく言われてたけど
「まっ、いっか!」
この時私は2つのミスを犯してしたことに気づいてなかった。
まず1つ、私の立場。
女王の娘云々以前に私のたちばは前世でいうところの芸能人。
芸能人は変装してなんぼ、じゃあなんで変装するのか?そんなの存在に気づかれないようにするため。
ではなんで存在気づかれちゃ駄目なのか?それは…。
「あっ、アリス様だ!!」
その小さな一言で私の平穏は崩された。
たちまち周りに人達が集まりこの前の感想やら質問やらがところ狭しと飛びかかる。
それは凄く嬉しい…、嬉しいんだけどこんな大人数が同時に喋るもんだから誰が何を言ってるのなんて当然聞き分けられるわけがない。耳は2つしかないのだよ。
なので私はただ手を振り愛想笑いを周りに振りまくことに全力をだしていた。
それだけならまだいいんだけど中には私を触ろうと間近にまで近づこうとするなんとも肝が据わっている人もいた。
けれど護衛の人がそれを見逃さないわけがない、相変わらず気づかれない(と思ってる)位置から煙玉みたいなものを数個その人に投げつけるとたちまち煙が私達を覆う。
「おいそこはバレてもいいからこっちくるだろ普通」と思いながらもその隙に煙と人混みから脱出に成功する。
良かった良かったと思ったのはその時の一瞬だけ。
「えっ、何これ?」
気づいたら私は真っ暗な部屋の真ん中で椅子に縛られ今度は怖い格好をした大人の人達に囲まれていた。
私が犯したミスその2、お母様のいいつけを守らなかったこと。