種明かし回その2
この世界、死者保存救済VRシングソングプリンセスは文字通り死者を救済する為のゲームさ。
君はさ、多分ここに来たのは「転生」したと思ってるだろうけどそれは合ってると言えば合ってるし間違ってると言えば間違ってる。
転生と言ってるからには君は自分があっちで死んでることは自覚してるよね?
「うん、はっきりと覚えてるよ。」
でも君が覚えてるのはそこまでそこから先は君の知らない展開物語。
この世界はね、死んでる人が死んだことを認めたく…、諦めたくない人がくる世界。
あっちの世界で死んだ人が未来で治療法が見つかり生き返るまでの滞在場所、箱庭なんだよここは。
要は生に執着してる人くる場所なんだよ。
「なにそれ、私は生きてる事にそんな執着ないし、生き返りたいって思ったことも頼んだ記憶もないけど。」
それはそうだよ、ここに来てるってことは長い間死の淵を彷徨ってってことなんだから。
だから君をここに送り込んだのは多分君の両親。
ところで君の両親は政界の人や大企業の重鎮か何かなのかな?
「いや、冴えない中年リーマンとパートなはずだけど…。」
ふーん、そうたんだ。じゃあどういう経緯なのかは分からないけどこのゲームの事を知った君の両親は君をこのゲームに被検体第壱号として組み込んだ。
「私が…壱号…?なんで…?」
このゲームは死者救済と言ってるけど死んだらもう入れないんだ。
だってこのゲームは生きている人の魂と精神を取り込むことでこの世界に来させることができるんだ。
死んだら魂も精神も無くなる、だから死んだからここには来れないんだ。
だからここからは私の推測なんだけどこのゲームの事を知った君の両親は死にかけの君をどうにかできないかと考えていた、そしてこのゲームの製作者達は被験者、いかにも死にそうな人を探してた。
そんな2者の考えがちょうどいいタイミングで重なり合って晴れて君が最初の被験者に選ばれたんだおめでとうパチパチパチ。
「いや、これ喜んでいいのか判断に困るんだけど。」
まあそうだよね、分かるよその気持ち。
「とりあえずここはゲームの中で私の精神と魂がここに送られてきたのは分かった。じゃあ死にかけの身体はどうなってるの?死んだからもとの子もないじゃん。」
それは安心してちゃんと急速冷凍保存して治療法が見つかったらいつでも治せるようにしてあるんだって。
「それ本当に大丈夫なの?」
大丈夫じゃないのー、じゃなかったらそんなことしないよ。とりあえず未来に賭けてみようよ。
結局君と私はさ治療法が見つかるまでこのゲームから出れないんだからさ。
これからも仲良くやろうよ被検体壱号さん。





