詰んだら話してみよう
あーあー、これだからいきあたりばったりは駄目だよね〜。だからあっちの君はどこか頼りないんだよね。
しょうがないでしょ、この状況でどうにかしろってどんな名探偵でも無理な話だよ。
なんせ何もない、何も起こらない、起こっても起こらなかったことになるそれが今回の事件なんだもん。
だから私はヒントを置いといたじゃないか。
あの焼き菓子のことでしょ?
そうだよ、本来ならあの状況で君達が自分達で作ったのなら別だけどロゼリアの仮説通りならあの焼き菓子が存在すること自体がおかしいのさ、お菓子だけに。
うまいこと言ったつもり?
まあまあそれはいいとしてそのおかげで君達はこの世界の仕組みに気づいたわけだ、よかったじゃん。
ロゼリア達には少し思考を弄ってそれが存在してることを不思議に感じないようにしてあるからそこは安心して。
で、寝てもいないのにあんたが出てきたってことは余程事態を要するってことなんでしょ?
そうそう、そうなんだよ。事態はかなり切迫してる。
あっちの君達がいい具合にうまい抜け道をいつまで経っても見つけれないから私はすんごい困ってるんだよね。
だったら私達に任せないであんた達が直接やればいいじゃない。
それができれば最初からやってるさ、できないからわざわざ君の天国への切符を没収して代わりにこっちの世界でこさせたんだから。
こっちの世界で何回切符無しで天国に行きかけたんだが…。
その時はまた私がなんとかしてこの世界に引き止めるさ!安心安全だね良かったね!
へいへい良かった良かった。で、早く教えてほしいんだけど。
おや、何を何をだい?
あんたがただ私をおちょくるだけで出てくるはずはないもの。事態は急を要するんでしょ?勿論この状況を打開できるヒントの1つや2つ教えてくれるんでしょうね。
はははっ流石こっちの君だ。あっちの君より察しがいい。
あっちの私は何も知らない、この私は何が起きるか知ってるけどどうして起こるか知らない。
それだけの違いだよ。
今はそういう事にしとくよ。
そうだねこっちもいろいろ大変だし、いつまでもみんなを停止していくわけにもいかないからね。そっちまで不具合を起こしたら火の車だ。
うん、分かった。私が教えてあげよう。
あっちの君が今すべきことは…。
「アリス様…?」
「アリスちゃーん。」
「おやおや完全に固まってらっしゃるフリーズしちゃってらっしゃる。これはこれは詰めすぎたキャパオーバーでしたか。」
3人は触れたり揺らしたり叩いたりしながら氷のように固まった私をどうにかしようとしていた。
まあ喋ってる途中で急にこうなったんだからビックリするのも仕方ないよね。
ではではそろそろ戻っていきますか。
何か知ってる私から何も知らない私に。
「った…。」
「アリスちゃん…?」
「北に行こう!北のカイクウ広場に!!」





