透明だけど「それ」はある
目にははっきりと王都に繋がる広い道が見える。
青い空、白い雲、地平線が見えそうなどこまでも長い道。
でも手を伸ばすと何かにぶつかる。透明な何かに。
熱さも冷たさも感じない叩いてもコンコンと乾いた音がするだけ。
一応他の出入り口に何箇所か向かったけど状況はみんな同じ、王都の外はすぐ目の前にあるのにすぐには行けない。
王都はいつの間にか無機質で透明な壁に覆われていた。
「で、どうしますか。」
数少ない手がかりに潰された私達は誰もいない王都の街で途方に暮れていた。
サバイバルものだと最初にぶつかる壁な食料問題は解決してあるから少なくとも閉鎖空間でありがちな極限状態による人間同士のいざこざは私達の間では起きることはないからそこは安心だけどそれはそれとして状況は全然良くない。
「いやいやまさか街から出れなくなるとは想定外予想外でしたね。」
「これじゃあいつまで経っても帰れないよ〜!」
「ほんと、どうしようかねぇ。」
私はもういろんなことが起きすぎて考えるのもバカらしく思えてきた。
普通どんな推理小説でも手がかりや伏線もあるものじゃん?でもここはそれすら元通りになって最初からなかったことにされてる。
最初から完全犯罪を完遂されてるようなとこに放り込まれてるようなもんだよ。
そう思うと何もかもバカらしくなってくる。
「ひとまずもう一度城にお戻りしますか?」
「でも城に戻ったとこで多分状況はなにも変わってないよね。だったらまだ王都を回って手がかり探したほうがいいと思うけど。」
「ではもうしばらく遠足は延長ですか、良かったですねお姉ちゃん。」
「うん、こんなこと滅多に起きないんだがこんな時ほど楽しまなきゃ!」
「それではそういうことで、で、まずはどこに行きますか?」
問題はそこなんだよな…、ああなんか考えがあるっぽいこと言ったのはいいけど本当は口からでまかせでなんも考えてないなんてとてもこの雰囲気にはでは言えるはずがないし…。
おうおう、お三方の視線がとてもがとても痛いぜ…。
「アリス様?どうかいたしましたか?」
ロゼリアは心配そうにこちらを見つめる。
「まさかかと思いますがどこにいくか考えてもなくあんな事を言ったわけではありませんよね…?」
「そ…、そんな分け…、ないじゃん…!勿論決めてるよ…!」
「ではどこに…。」
「そ…それは…。」





